境界線が常に一定であるとは限らない

「といってもこの子は理解していないどころか、考える事すらしてないでしょうね。自分の中の境界線だけを守って彼女の境界線だけを自分にとって都合よくしたいというようにと思ってね」
それで紫は新一は現状が自分のせいであることなど考えてすらいないだろうというように漏らす。






・・・暇つぶしとして新一達に接触して話をした紫だが、その話の中で間違った事は何一つとして言っていない。だがその話の中でさも新一が蘭の境界線やら地雷を上手いことしなければならないかのような雰囲気になっていたが、別に紫はそんなことは一言も言っていない。だが新一はそんな風に思ってしまったのだ・・・自分の事を見直すことも態度も改めもしないままにだ。

だから新一は今までのように動くことを前提にすることを絶対に崩すことがないままなのもだが、最後紫に言われたことで察してほしいという態度ではなくハッキリ自分の為にもそうしてほしいと願うようになったのであるが・・・そもそもの二人の関係が悪くなった原因が新一が察して欲しい事についてではなく、根本的に自分を一切変えようとしない事なのだ。紫の言うような自分の中の境界線を蘭の為にもどうにかしようという気など一切なくだ。

そんな新一に蘭も紫の話を聞いたことから、新一がどうにか変わってくれるというように期待したことだろうし、蘭自身もある程度なら新一との付き合いを続ける為にも考えを変えて譲歩するくらいの気持ちにはなっていただろう。だが・・・新一は蘭に合わせようとすることなどないばかりか、むしろ一層自分に合わせてくれと言ってくるばかりであったのだ。

こんなことをされてしまえば蘭が気持ち良くないとなるのは当然となるし、喧嘩となるのもまた当然であった。だからこそ今の関係の悪化に繋がっているのであり、紫からしてみればいい暇つぶしであった。頭が良くて機転が利くはずの新一がここまで何も出来ずに右往左往する姿は。






「恐らくなどというまでもなくこの子はこれからもこんな感じになっていくでしょうね。自分の中の境界線ばかりを守り続けて、結果として大事だと思っていた物がどんどんとこぼれ落ちていく事を何でだっていうように思っていく形でね・・・フフフ・・・」
そして紫はもう新一はどうにもならないだろうと断定するよう、穏やかに笑いながら新一を映したスキマを閉じた。もうこれ以上見る価値はないというよう。






・・・物理的な境界線はともかく心の内の境界線は一定ではない。その上で更に言うなら大事な物が増えれば増える程に元ある物に見切りをつけなければ、境界線は広がる物であると共に内にある物にかけられる時間という物は平等に取ろうと思っても、少なくなる以外にないのである。

だからこそ紫も大切な物というか場所は存在するが、その大切な場所に関してを全て管理ということはしていない。これは確かにその場所は紫にとって大切ではあっても、その場所に存在している者達の事も尊重しなければその場所ではないといった考えがあるからである。ただその場所そのものを壊しかねない存在の取った行動に対しては常にない様子で怒りを見せたが、そこまでにいかない行動に関しては寛容である。

そういったよう付かず離れずといった距離を保ちつつも大切な物に対しての引くべき境界線を明確に引いている紫からして、新一は手の内にある物に対して境界線を引こうだなんて考えもせずただ全部を抱え込もうとしている・・・そんな愚かさを紫はハッキリ感じ取っていた。あれだけ話をしたのに全くそれらについて改めて考えようともしてこない愚かさを。









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