境界線が常に一定であるとは限らない

「・・・彼だけじゃ二人も納得出来ないかもしれないから、そちらの貴女はどう思ったかしら?私の言葉は」
「あっ、えっと・・・二人には言いにくいっていう気持ちはありますけど、私も紫さんや安室さんの言葉に納得しました・・・仲直りは確かにした方がいいとは思いますけど、それしか駄目だっていう風にしたら却って良くないって風になりそうだというよう・・・」
「「っ・・・!」」
更に紫はそこで梓にもどう感じたかというように問い掛けると、視線を合わせたくないといったよう極めて気まずそうながらも同意といた答えを返した事に、一層蘭も新一も息を詰まらせる。
「・・・まぁこういったように二人も言っている訳だけれど、それでも私自体は貴方達にだからこうしろと強制するわけじゃないし、特に貴方はここまで言われても彼女との仲直りを諦めたくないとなるのは目に見えているわ。でもそこでさっきまでに言った事が貴方達の仲に重くのしかかることになるのも目に見えている・・・主に貴方が自分の探偵としての活動に関してを変えられないというか、変えたくないという気持ちからそれを彼女に自分に従ってほしいということを再度求めるという形になってね」
「っ!」
ただそれでも自分はこうしろとは強制しないとは言った上で新一自身従わないだろうとこの後の事を口にしていく紫に、蘭もそれが正しいと思ったとばかりに顔色が悪いままにハッとするが、新一はその姿に慌てたように蘭へ顔を向ける。
「ら、蘭・・・あの、その、俺は・・・・・・」
「・・・咄嗟に声をかけたはいいけれど、どう否定の言葉を出そうかと悩んでいるといったようね。いえ、正確に言うならどう人聞きのいい言葉に変換出来ないかにそういった言葉を必死に抽出したいといった様子に見えるわ」
「っ・・・!」
そのまま新一は必死に何か言葉を探そうとするがすぐに言葉を詰まらせ苦渋の様子を見せる姿に、紫はいっそサディスティックに思える程の綺麗でいて柔らかい微笑でその内心はどうかについて言葉にすると、新一は歯を噛み締めてただ辛いというような表情を浮かばせるだけしか出来ない。
「図星を突かれて辛いといった様子だけれど、むしろ本当に彼女と仲直りだとかやり直しをしたいというなら、そういったように本音を上手いことみっともないように綺麗に飾り立てたいといった姿勢は、却ってそうすることについての障害にしかならないわよ?」
「「「「・・・え?」」」」
だがそこで責め立てるような言葉ではなくやり直しの障害だと口にした紫に、四人は揃って困惑の声を漏らして静止した。完全に流れが仲直りなど出来ないと紫が話しているといったような物だったのが、一転してそうするならといった言葉が出て来た事に。
「誤解のないように言わせていただくと私は是非とも二人に別れてもらいたいだとか、仲直りしてもらいたいといったようなどちらかの気持ちがある訳ではありませんわ。そもそもは私は彼女から話を聞いて二人の関係の悪化についてどう考えたのか私の考えを話すと共に、仲直りするか関係を終わらせるかについてこういった問題があると話そうと思ったのであり、どちらかの味方として肩入れをするつもりはない・・・だからこそ私はこの場に来た時から一貫して第三者としての視点で、彼にも彼女にも仲直りをしたいならこうした方がいいという意見を口にしているだけよ」
「っ、だ、だから俺と蘭が仲直りするならそういった本音だとかをちゃんと言う必要があるって、紫さんは言ってるんですね・・・!?」
「そういうことね」
「・・・っ!」
紫はそんな反応に最初から自分の立ち位置は第三者の物からだというように発言していき、新一はその中身に一転して希望が見えてきたと言わんばかりに表情を明るくした。可能性はあるのだということを受けて。









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