正しいから許されると誰が決めた?

「ありがとうございます・・・そうして貴殿方がいる場で証拠現場の撮影は流石に危険だと思い、父さんには事件が起きた際には貴殿方がいない時に連絡をしてほしいと言いました。まぁその際に関しては現場が室内だったりすることが多かった事から順調とは言い難かったですが、それでも一応はこの動画が撮れました」
「・・・っ、これは・・・」
そこから話をしつつ携帯を取り出し画面を安室に見せると、軽い驚きを浮かべた・・・その画面に映っていたのはコナンが何やら時計のレンズの部分を開けて小五郎の首を狙うような動作をし、小五郎が脱力した後に座り込んだのを見計らいその近くで周りの人物から見えないように隠れながら蝶ネクタイを持ちながら口をパクパクさせている動画だった。
「他にもいくつかは取れましたが、これが最も分かりやすく江戸川コナンの起こした行動を撮せた動画です。それでなのですが父さんには江戸川コナンが眠りについた際にその時計と蝶ネクタイを持って僕の所まで来てもらい、その二つが麻酔銃であるのと変声機であることが分かりました。そして貴殿方や蘭などと話や連絡を取る場面から、江戸川コナンが新一君だと知るに至ったと言うわけです。貴殿方が厄介だと見て潜入したり追跡したりしている組織により小さくされ、その人物達を捕まえようとしているという事実も知る形で」
「・・・本当にすごいな、君は。まさかそこまで僕達に気取られないで情報を集めることが出来るとは・・・」
「お褒めいただいたことは素直に受け取らせていただきますが、まだ本題を話していません」
「あぁ、そうだったね・・・」
それですぐ動画が終わった携帯を戻し新一であることを確信したという頼人に安室は賛辞を送るが、まだ本題でないとの声に気を取り直す・・・もう安室としては今までの話で頼人のすごさを感じてきた事で、もう色々といっぱいだった為に。
「そういった証拠を集めた結果として新一君が犯人だと分かったのはいいのですが、そこで問題となったのはどういった対応を取るのかでした。現在の父さんの体の事を考えれば新一君やその両親に事実を明かして何らかの責任を取ってもらうのが普通の対応なのでしょうが、今の新一君の立場に周りに貴方やFBIなどがいる状況を考えれば最悪の可能性として、父さんを半ば無理矢理にでも新一君の協力者に仕立ててあげようとしてくる可能性もあると見たんです」
「まさか、毛利さんの体調を知ってそんな・・・」
「貴方はそうおっしゃってくれますが、FBI・・・あの赤井秀一という人物が新一君が自由に動くために必要な人物を見逃すかと考えると、微妙だと考えたんですよ。場合によってはそれこそ力ずくでも搦め手でもどちらでも、組織に対して有効な手段と見たならそうすることも有り得ないとは言い切れないと」
「いくら赤井でも、そこまで・・・」
「赤井さんだけではありません。むしろこの問題で厄介なのは新一君の方です」
「え?」
「新一君の性格から考えて今お話しした事を彼に伝えたとしたなら、麻酔薬の事には申し訳無くは思うがそれでも俺はあいつらを追い詰めたいからこれからはおっちゃんも協力してくれ・・・と、要約すればそんなことを引くつもりが一切ない気持ちで確実に言ってくると僕は予測しています。そして父さんや僕が渋れば渋るほどに周り・・・つまりは貴方や赤井さんにどうにかしてくれと頼んでくるでしょう。そうなれば貴方が色々と戸惑う中で赤井さんは父さんや僕に説得という名の脅迫を行ってくる可能性が高くなります。今更新一君を手放さない為にもそうですが、僕達を戦力として追加して余計な事をさせないようにと飼い殺しにする形でです。特に僕にはそういった事を強要している立場にも関わらず、全てが終わった後には僕のやったことは悪いことで自分達はそれを許すから代わりに自分達の元で働けと、FBIへの勧誘という名の強制就職をさせてくるでしょう。新一君には表向きは外国の病院で療養させるとでも言って、秘密を知った父さんの身柄について確保して人質にでもする形でです」
「っ!!?」
だが続けられたいかに赤井や新一達の考えに行動の危険性が高いかと予測する頼人の発言に、安室は今まで以上に絶句せざるを得なかった・・・新一の強情さもそうだが、いかに赤井が動くかの予想があまりにも非人道的であり酷いものであるかに赤井ならそうしてしまうのではと・・・そう感じてしまい。









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