境界線が常に一定であるとは限らない

「まぁ恋人関係になるまではそれでも良かったんだと思うわ。そういった喧嘩があってもまだ付き合ってないのもあるから仲直りしたいという気持ちにもなる上で、そんな時には事件が起きる事もあって仲直りの機会は度々あったんでしょう・・・でもその事件が起きての仲直りなんてものは言ってしまうと雨降って地固まるという言葉のよう、その時降った雨が無いなら地面が固まらなかったということの証左であることもそうだけれど、結局は雨が降り止んで晴れ間に晒されれば乾いてまた固まっていない地に戻るような物であって、根本的に二人を結び付けるように固めることが出来るような物ではなかった」
「・・・そういうように言われてみれば前の新一君達の関係はそういうように見えますね。色々あっても恋人関係になることはなかったことを踏まえると。ただそれでも二人は数ヶ月の時間を経て恋人関係になりましたが・・・」
「えぇ。ただ私が話に聞いた印象として言わせてもらうとただ彼は元の生活に戻ってきた時に告白してきたというだけで、その数ヶ月という時間を乗り越えた事によりもう喧嘩なんて起きる筈もない、理想的な恋人関係になれるといったような気持ちを抱いていたのではと感じたわ。そして彼女も彼女でその数ヶ月の後に告白されて頷いたことで彼と同じようになったのだろうとも・・・けれどそれは地が固まる形になって問題なく足を踏みしめて歩ける状態になったのではなく、砂漠の地のようにまともに足を踏みしめようとすると足をその度に取られるような状態にしてしまったのよ。結ばれる事だけを喜んだことにより、今までの喧嘩の原因だったりそれらを解決することについてを考えずにいたことで、何で恋人関係になったのにこんなことになるのかって事で前より怒りだったり困惑したりするって風になる形でね」
「「っ!」」
ただ恋人関係になるまでは良かったと言いつつもそれが根本的に二人を結び付ける物ではなかったとも紫は言い、安室は納得しつつも二人は結果として結ばれたと言うがそれが却って今の状態にしてしまったと紫は返し、蘭と新一はたまらずに息を呑んだ。二人共その時は幸せな恋人関係になれると思っていた考えが、何も考えていない浅はかな物だったと言われたも同然の言葉だったことに。
「ま、待ってください・・・今の話から話し合いが足りないとか、境界線とか親しき仲にも礼儀ありって言葉が二人にないって言ったことは、どう繋がるって言うんですか・・・?」
「この娘からの話を聞いて恋人関係になったことはともかく、それ以外の面では付き合い方だとか接し方を変えようといったような姿勢だとかを二人共から感じなかったの。言ってしまうと正式に恋人関係になったという事実に満足して、それこそそれまでに喧嘩をしたようなことに関してだったりを始めとしたようなことに関して、恋人関係になったんだから改めてみようだとかこんな風にしてみようといったような姿勢をね」
「・・・そんな姿勢が必要なんですか?」
「言ったでしょう、親しき仲にも礼儀ありと。恋人関係なら必要ない考えと勘違いする人は多いけれど、誰にだって言われたくないだったりされたくないことなんてあるものよ。なのに恋人関係なんだからそんな禁句だとか行動なんて関係無いなんて風に振る舞われたとしたら、恋人関係なんだから別にいいと貴女は相手の事を許せるかしら?」
「あ・・・確かに恋人関係だからで許せないっていうか、むしろ恋人関係だからこそ許せないって思っちゃうかも・・・」
「そう、好きな相手だからこそ何でそうするのかと一層に思う物だけれど、よく見知りもしない相手同士ならそういったことを探り探りといったようにしながら付き合うようにするもの・・・けど二人は昔からの付き合いに気心の知れた相手だからということからそういったことを話すことなく、今まで来てしまったというわけよ。境界線・・・今風に言うならライン越えの発言や行動を考えなしに取ることで、どこに地雷があるのか分からないまま踏み抜くという形でね」
「「っ・・・!」」
だが梓がそれらと先程の言葉がどう繋がるのかというよう戸惑いながら聞いてきた事から、紫がどういう事かを語っていくと次第に納得といった様子を見せていくのだが、蘭と新一の二人は一層に辛いといったように表情を歪めるしか出来なかった。散々な言われようだがそれでもそんなことないと否定出来るような材料は二人共にないというような状態だった為に。









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