正しいから許されると誰が決めた?

「今僕は推理場面の撮影はしてはいないと言いましたが、ある程度の状態が確認出来た後、僕は撮影に踏み切りました」
「ある程度って・・・」
「貴殿方みたいに鋭い視点に感覚を持った外部の存在が江戸川コナンと繋がりがあることを確認したからです。貴殿方の能力の事を考えると、もし江戸川コナンについて深く掘り下げていく過程の上でバレるような事も有り得ると思いましたからね・・・ですから貴殿方がいない時を狙って江戸川コナンについての撮影を実行すると決めると共に、平行して貴殿方の事についても調べました。そして分かりました・・・貴方が公安の人間であることもそうですが、現在工藤邸に住んでいる沖矢昴という人物が赤井秀一というFBIの人間だということが」
「なっ・・・!?」
だが更に頼人から口にされた言葉に、安室は絶句する以外になかった・・・自分の正体もそうだが、最近になって手を取り合わねばならない状況だからということでようやく明かされた赤井の事を頼人が調べて知ったという事実に。
「自分達なら尾行や盗撮に盗聴といった事はされないし、見破れるだけの知恵に技術はあると思っていたのでしょうが・・・僕から言わせればその自信こそが隙でした。現に貴方が公安の部下らしき人と会っている所もそうですが、沖矢昴としての顔でも赤井秀一としての顔でもFBIの同僚と会っている所も確認しましたよ」
「そ、そんな・・・どうやって・・・」
「すみませんが、その過程についてはお話しません。それに僕は江戸川コナンの事を調べる過程の上で貴殿方について調べただけですから、貴方が約束を守ってくださるなら僕に父さん達はこの事を秘密にしますよ」
「・・・そうか。なら喋りたくなるようにしてあげようかい・・・?」
「僕や父さん達に尋問をしようとするのは止めておいた方がいいですよ。この会合において貴方が僕達に対して口封じを仕掛けてくる事を考慮し、ネット上にこれまで集めた資料や写真などを保存してあります。そして貴方がそういう手段に出た場合、その情報達は一斉に各メディアやネット上に拡散するよう手筈をしてあります。それは時限式で広まるように設定してますし、一つのサーバーからだけではなく複数のサーバーから同じように広まるようにと設定もしています。そして父さん達は解除の方法の一切を知りませんので、それまでに僕を尋問出来なければ・・・貴殿方や組織の情報が流出する、と言うわけです」
「!!」
・・・いいように話を進められるのは癪だと本気の圧をかけようとした瞬間、それが悪手になるとあっさり告げた頼人の言葉に安室の顔は愕然とした表情へと変わっていた。薄々と感じてはいたもののその言葉が指し示す事はつまり、下手に頼人達に手を出すことは自分達の立場に目論見が台無しになってしまう可能性が極めて高くなってしまうということだと。
「無論貴方が何もしなければ僕はこの後すぐにそれを止めるための手続きをしますし、これからもその情報を流出させるようなつもりもありません。そして僕達の要求に応じない場合でもそうはさせていただきますが、もし僕や父さん達に何かあればすぐに情報を流出させるような手続きを取らせていただきます・・・それでよければ話を続けますが、いいですね?」
「・・・あぁ、分かったよ。君達に手を出さない方がいいということもね」
だからこそ再度向けられた声に、安室は疲れたような笑顔で肩をすくめた・・・もう頼人にこの場では逆らえないし逆らわない方がいいと、いやが上にでも理解して従わないといけないと判断した為に。









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