いつかを変えることの代償 中編

「・・・さて、ここで本当に良かったのか?お前の感じならこう言った大衆的な店よっか、オシャレなバーとかって方がいいって言うんじゃねぇかって思ったんだがよ・・・」
「構いませんよ。バーなども悪くはありませんが、こういった店も親しみやすくて好きですし、こういった場所に誘っていただけること自体中々ありませんからね」
「ならいいか・・・」
・・・とある居酒屋の一角の座敷席にて、テーブルを挟んで座り対面する小五郎と明智の二人。
小五郎はおしぼりで手を拭きながら場所についての不満があるかと聞くが、明智がニコリと返す様子に一先ずはよしとする。
「とりあえず本題に入る前に注文をするぞ。こういった場だから話をまともに聞こうとしてくるのはいないだろうが、だからと言ってあまり人に聞かせたくはないもんだからな」
「そうですね、では適当に色々と頼みましょうか」
それで注文を先にという小五郎に明智も同意し、メニューへと手を伸ばす。









・・・それで食べる物も決まり注文した食事に酒が届いた所で、小五郎が口を開く。
「・・・さて、どっからどう話すか?」
「そうですね・・・出来れば毛利さんからお話いただけませんか?私の記憶に間違いが無ければ毛利さんが不動町に事務所を構えていた事もですが、事件に巻き込まれたなんて話を聞いたことはありません。その上で何故米花町から離れているのか、是非お聞かせ願いたいのですが・・・」
「・・・それはいいが、お前は前から不動町が担当区域だったのか?」
「えぇ。ロスに行っていましたが、戻ってきてからは主に不動町近辺が仕事の区域になります」
「そうか・・・なら俺の事を話した方がいいか。つっても個人的なもんだからあんまり面白い話じゃねーぞ(流石にあの組織についてを言うわけにはいかねーからな・・・その辺りは適当に濁すか・・・)」
それでどちらの事情から話すかと切り出し明智が小五郎に先に聞きたいと言ったことでそうすると言うが、流石にあの組織の事を簡単には口に出来ないからと内心で誤魔化そうと考える。


















・・・それから小五郎は組織の事については口にせず、前世での自分の英理に蘭達との出来事に関してを話していった。自分の状況がどんなものであったかに、どういう結末を歩んで過去に戻ったのかを・・・



「・・・って訳で、俺はこの不動町に来たんだ。前世で散々情けねぇ事をしてきた後悔もあって、夫としても父親としてもロクな事が出来ねぇってんならいっそ蘭が産まれねぇってなっても、俺のせいであいつらが不幸になるくらいならってんで米花町から離れたんだ・・・」
「・・・そういうことですか」
・・・それでちょくちょくと酒を口にしていって話も進み、組織の事は口にしないながらも英理達に抱いていた気持ちを吐露していった小五郎。
少し気持ちが落ち込んでいくのを自覚しながらも話を止めずに行ってきた小五郎に対し、明智は冷静と言った様子で眼鏡に手を当てながら受け止める。
「ま、俺の事情についちゃこんなもんだ。次はオメーの番だぞ、明智」
「・・・そうしたいのは山々ですが、まだお聞きしていない部分があります」
「聞いてない部分?」
「えぇ・・・貴方が何故世間を賑わせる程の名探偵となったのに、ある時を境にそうではなくなった理由です」
「っ・・・そこについてかよ・・・」
小五郎はそこから次と明智に話題を振るが、冷静に名探偵でなくなった理由を問う明智に聞かれたくなかったとばかりに頭に手を当てる。











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