正しいから許されると誰が決めた?

「・・・すみません、こんな時間に訪れてしまって」
「いえ、貴方には新一君達の事で協力していただきましたからね。こうして来訪してくださることくらいは快く受け入れますよ・・・さぁ、椅子にどうぞ」
「すみません」
・・・ホテルの一室。そこに入って待っていたのは、頼人だった。
入室して挨拶もそこそこに部屋の中の椅子を勧められた安室はそこに座り、頼人も対面の椅子に座るのだが・・・
「・・・その座りかたは?」
「父や母からはよく注意されていましたが、この座りかたが落ち着くし集中出来るんですよ。気にしないでください」
「・・・えぇ、分かりました」
普通に椅子に座るのではなく、座面に足の裏をつけ膝を立て背筋を丸めた体育座りの亜種のような妙な座りかた・・・その奇妙な姿勢に安室はたまらず何事かを問うが、然程気にした様子もなく返す頼人に深く突っ込む事はなく頷いた。
「まずは改めて、ありがとうございました。貴方のおかげで父さんの無事がしばらくの間は確約されました」
「礼には及ばないと言いたいが、本当にこれで君が集めた僕達や赤井達に組織の情報の事を黙っていてくれるんだろうね?」
「えぇ、それは。流石に後々の新一君達の事を考えると情報を丸々と渡すことは出来ませんが、少なくとも組織や貴殿方に関しての情報は漏洩させることはしません。と言っても貴方の立場では僕の事を信用出来ないかもしれませんが」
「・・・確かに君の事に関しては得体が知れない部分の多い存在だとは思っている。だがそれ以上に君が毛利さんの事を思っているのは分かったし・・・何より、僕自身も迂闊であることを思い知らされたからね。その辺りは君や毛利さん達への謝罪の意味も含めて、是非とも情報を処分してくれなどとは言わないようにするよ」
「そう言っていただけると幸いです」
それで早速と話を始めるのだが表情を変えることなく対応する頼人に対し、安室はコロコロと表情を変えながら話をする。


















・・・今こうして頼人と安室が二人で普通に話をしている理由。それは組織の壊滅の為の最終作戦が開始される数日前にまで遡る・・・



「・・・どうしたんですか毛利さん、僕を呼び出して?それに妃弁護士も共にいるのはまだ分かるんですが、そちらの子は・・・」
「前に話しただろ。俺にはアメリカに行ってる息子がいると・・・それがこの頼人だ」
「どうも、頼人です。初めまして」
「初めまして、安室透です」
・・・平日の夜の英理の従業員が誰もいなくなった事務所にて、蘭を除いた毛利一家がソファーに横並びで座っている場に現れた安室。
そこで用向きを問うと共に頼人に誰かを聞くと、息子と小五郎から返ってくると共に頼人が立ち上がって手を出してきたので笑顔と握手で安室は返す。
「・・・それで、どうしたんですか?僕に頼人君を会わせる為にわざわざここに誰にも・・・特にコナン君や蘭さん達には絶対に言うなと言ってまで来いだなんて穏やかではありませんが・・・」
それで頼人と握手を終え三人と向かいのソファーに座りながら、改めて用向きを問う・・・この時組織との対決を近い内にすると決めていたことから、下手な事で余計な時間を食いたくないと内心早めに事を終わらせたいと安室は思っていた為に。









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