正しいから許されると誰が決めた?

「・・・毛利さんの体調が心配なのはいいだろう。だが今の状態で早々と戻られるのは僕達にとってもそうだし、毛利さん自身も体調の面から望まれない筈だ。だからこそ色々と不安というか気になることもあるだろうが、ここは敢えて毛利さんの事には触れないでいてほしいんだ。勿論妃弁護士にたまに毛利さんの事を聞くくらいは構わないだろうけどね」
「でも・・・それだとお父さんが帰ってきた時が・・・」
「それだけの期間入院することを考えれば、確かに再就職する時であったり探偵に復帰する時に色々とあるだろう。だがそれも全ては毛利さんの体調が良くなってからだ。そうしてからでなければ毛利さんが入退院を繰り返してろくに働く事も出来ずに蘭さんも苦しい生活を強いられる事になるだろうし、そこまでして毛利さんの元でなければ嫌だというのは貴女を受け入れてくれる妃弁護士の元に行きたくないと言っているのと同じような物だ。例えそんなつもりは貴女にはないとしても妃弁護士からすれば、そう感じざるを得ないだろうね」
「っ!・・・分かり、ました・・・これ以上は何も言わず、父の事は回復を待つことにして、母の元に行きたいと思います・・・」
そんな組織に関する都合の悪さもあるからこそ話をしない方がいいと進める安室だが、諦め悪く小五郎への気持ちを浮かばせる蘭に英理の立場までもを持ち出すとハッとしたようにしながら気まずげに頷いた。蘭からすれば小五郎も英理もどちらも好きなのだが、英理の事を蔑ろにしていると言われれば否が応でも考えざるを得なかった為に。
「・・・さて、ここまでの話を聞いて尚新一君達に協力するつもりはあるか赤井?もしそうすると言うなら流石に新一君達を捕らえるような事はしたくはないが、お前やFBIが相手なら俺は遠慮なくいくぞ・・・!」
「いや、そんなことはしないさ。君の話からこの事に協力すれば藪蛇を色々と出しかねんということは分かったし、この件に関して協力してもボウヤ達にとって満足のいく結果が訪れない可能性の方が高いと来ている。そして気持ちとしてはともかく、FBIとしてボウヤ達に協力するメリットもない・・・だから俺はこの件から手を引くし、ジョディ達にも協力するなとは伝えよう」
「そうか。ならついでに他のFBIも連れてさっさと日本から出ていくんだな。組織が壊滅した以上、これまでのようにお前達が日本にいられても気分が悪くなるだけだからな」
「フ・・・そういうところは変わらんか・・・」
「「・・・」」
そして場に残った最後の一人である赤井に協力したならと挑戦的な言葉をかけるが、そのつもりはないとハッキリ言い切り冷静に安室の言葉を受け流す姿に新一と蘭は何とも言いがたそうな表情を浮かべた。最後の協力者になり得た筈の赤井が、こうもあっさりと引き際を見極めて自分達の事を見放した事に・・・


















・・・そうして新一と蘭の二人により呼ばれた赤井と安室の二人は工藤邸から出た。安室が他にも協力してくれる者はいるかもしれないが、そうした場合は躊躇わずその人物達もろとも捕らえる事にする・・・そう最後に付け加える形で。



「・・・終わりましたよ・・・いえ、礼には及びませんが今からそちらに伺ってもよろしいですか?・・・えぇ、では向かいます」
・・・夜道を自身の車で飛ばす中、運転しながら安室は電話をしていた。そして会話を一通り終えて携帯をしまい、ハンドルを握り目的地へと向かう。電話の相手の元へと。









・・・そうして安室が向かった先はとあるホテルの一室であり、そこで待ち受けていたのは・・・









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