近くに見えた物と遠くから見た物の差 後編

『でも三ヶ月程度で工藤君がそうなったって聞いて改めて感じるわね。もっと本来なら慎重に行動するとか考えるべきな筈の事に、自分の考えや気持ちだけで大丈夫だって風に動いてきたってことを』
「その辺りに関しちゃ他ならぬ探偵活動を続けてきたことが、そういった考え方に動き方でいいって事を促してきたんだろう。工藤からすりゃ目の前で起きるだったり解決してくれって頼まれた事件や謎を前にして、それを解決するってことを組織に関係する前から数えるのも億劫になるくらいに繰り返してきた・・・そういった事をしてきたこと自体はまぁ構わねぇだろう。だが言ってみりゃそんな風に事件が起きる事は起こす側の立場についてはともかく、工藤からすりゃいきなり起きる突発的な事でしかねぇ。そしてその突発的な事を何度も何度もうざってぇ程に解決してきたからこそ、工藤は探偵としての自信をつけると共に場当たり的な風な事しか考えられなくなったんだろうぜ。事件が起きたら解決すりゃいいことであって心情的に人間ならこっちに寄るべきだろうみたいに考えて、その実はろくに先のことだとか人の内心の複雑さについては深く考える事の出来ない単純な思考回路が確立される形でな」
『・・・そう言われると納得出来るわね。目の前にあることを解決してはまた目の前にあることを解決していくという事を繰り返すだけ・・・工藤君は事件や謎はそんな単純な物じゃないと言うでしょうけど、構図自体は至って単純であることについてを工藤君は考えることもしてこなかった、と』
ただ志保は自分達についてからまた新一が迂闊だということについてを挙げるのだが、承太郎が返した冷静な声色からの痛烈な言葉に呆れたようになりながら納得したという声を漏らした。確かにちゃんと見てみれば分かりやすい単純な物であると共に、新一がそういったことに気付いた様子もないということに。
「ま、赤井もだが工藤はそういった意味じゃ自分の本名やら立場やらを隠しながら動いてきた事についてこそが、自分としてはちゃんと考えて動いてきた結果だとでも言うかもしれねーが・・・それもこれも自分本位なもんばかりで周りから見たらそれが最適なのかそうでないのかを考えちゃいねーもんばかりだった。その中でも代表的な事はやはりアンタの信頼を得ることより手段を選ばずアンタを守るって風にやったことだな」
『・・・本当にあの時の事は思い出したくないわね。貴方達から話を聞いていたのもあって尚更だったけど、わざとらしくご近所付き合いみたいな顔を装って私に近付いてきた事だとかは・・・』
「あれに関しちゃ先に事実を言ったらアンタが赤井の事を嫌がるだろうからというのが目に見えていたから、あんな形を取る以外になかった・・・ってのが工藤達の言い分になるだろう。だがそういったようにアンタが嫌がるからで説得をすることも自分達の腹の中を明かすこともなく、何も言うこと無くアンタの盗聴に監視という行動を取った。あれは俺達から言わせてもらえば自分の正体を隠した上で自分の思う通りに行動したいっていうワガママの延長線上のもんであると共に、アンタの事を心配だとか気遣ってるみたいに言ってるだけで結局のとことしちゃアンタは周りより事情を知ってるし元に戻る為のキーパーソンだとは言え、心の内を明かせて信頼出来る味方だとか心配なんて風には本気では思っちゃいないだろうってもんだったよ。いくら言葉を飾ろうがというより、言葉で飾れば飾る程にそういったもんが強調されるって風になるようにな」
『っ!・・・確かにそう言われると私に対しての秘密の行動とか考えが多かったけど、それは言ってみれば工藤君達からして私が乗り気ではない事が多かったのを考えても、私を危険に晒さないようにという名目でただ自分達のやりたいようにやるために蚊帳の外にしていただけだったように思えるわね・・・』
そしてだからこそ新一達は自分本位だったようにしか思えないと志保に対しての行動についてを話していき、それらの中身に心底から理解出来ると苦い声色で返していった。言葉ヅラはいくらでも飾れても結局は志保に大事な事を言うことを放棄した選択肢ばかりを取ってきただけだというように今なら思うと。









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