近くに見えた物と遠くから見た物の差 前編

・・・志保が言った正体がバレかけた時とはどういうことかと言えば、簡単に言うなら工藤新一としてではなく江戸川コナンという名と立場で今は幼馴染の蘭の家に潜り込んでいるのだが、そこでコナンは新一だろうとほぼバレているといった状態にあって、それで新一はその事についてを黙っていられなくなり事実を蘭にぶちまけようとしたことがあったのだ。

だがそんな蘭と新一の様子を見ていた志保はすぐさまに新一が一人しかいない状態の時に新一の所を訪れ、冷静に話を表向きはしていくのだが実際はかなり焦りだったり怒りといった気持ちを押し殺しながら話していったのである。自分が追い詰められていてそれに耐えることが出来ないから事実を蘭に明かしたいなんて、新一が今までやってきたことを棚に上げた自分勝手な行動であると共に、蘭に事実を明かした場合のもしもの危険だとかを一切合切考えていない事を諭してそれを避けるためにもだ。

それで一応空気に押されたのもあって新一はならどうすればいいのかと志保に聞くのだが、そこで志保はいくつかの選択肢を提案した中で前にピスコの件からヒントを得て作った解毒薬の試作の薬品を危険を承知の上で使い、自分も協力するからそれで蘭を騙すという選択肢を提示した・・・まず新一はこの選択肢を選ぶだろうと考えながらだ。

そしてその結果として案の定志保の考えたようにその選択肢を選ぶのだが、それで試作といったように完全に新一の体は元に戻ることなくまた小さくなるが、一応は新一がコナンなんではないかという事に関しての誤魔化しの目標だけは達成出来た・・・だがその際にもどれだけ志保が内心で焦ると共に苦心したのかを考えることもないまま、また何かあれば試作の薬を使いたいからちょうだいといい笑顔で手を差し出してきた姿を見た時には、もうこいつを見捨てて終わらせていいんじゃないかと志保も本気で考えかけたのである。あまりにも自分の危惧だとか何やらを考えなさすぎな姿に。

だがそれでも志保は湧き上がってくる怒りを我慢しつつ、その選択を取るのはまだ早いということから表向きは冷静な様子を保って話を進めていったのである。承太郎達がまだ十全に状況を整えきれていないと人目のない時を見計らって報告をしてきたことから、まだしばらくは我慢しようということで・・・だがそれも今となってはもう我慢の限界の大きな一因となってしまっているのである・・・






「その辺りに関しちゃ俺達も報告を受けて聞いちゃいたが、やっぱり工藤の覚悟やら考え方が甘すぎる事は俺らの中でも話題になったぜ。特にホル・ホースなんかは普段から女を好きだとか尊敬してるなんて言うからこそ、本当に自分のやることに巻き込みたくないとかってんなら涙を飲ませることになってもキチンと別れを告げてやるのが、男としてのケジメのつけ方だろうってな」
「あぁ、確かにホル・ホースなら言いそうな事だが、間違ったことは言っちゃいねぇな。そもそもを言うなら阿笠のジイさんが工藤に毛利家に入り込めって勧めた事が元凶とも言えるが、本当に惚れた女を巻き込みたくなかったってんなら最初から毛利家に入り込むこと自体を最初から拒否するのが筋だったろうよ」
「そしていざ正体がバレそうになったらもう嘘をつき続けられないって事実を明かそうなんて風に考えてしまう始末・・・自分のやりたいようにやりたいし罪悪感を持ちたくないみたいに都合のいい考え方しかしてないからこそ、毛利さんには色々考えるのにおじさんを利用していることには意識も何もしていない・・・そしてそれは他の人にもそうだし、私にも当てはまる。多分貴方達やお姉ちゃんと出会えてなかったら他に道はないから、せめて自分が何とかしないといけないって思いながら動いていたかもしれないけど、もう必要以上に工藤君やあの人と接するような時間を取りたくはないし構われたくもない。だから事が全て済んだらスピードワゴン財団で私を匿って」
「・・・決意はもう変わらないってことか」
イルーゾォもその話から思い出すような声を上げていき承太郎もそもそもはこうするべきだったというように言えば、志保は心底からウンザリとしたというように言いつつ迷う気はないと改めてスピードワゴン財団に身を寄せると口にし、承太郎は小さく頷く。









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