近くに見えた物と遠くから見た物の差 前編

「だろうが工藤からすりゃそんな都合の良さを考えちゃいねぇだろう上で、それを言ったら言ったで俺達から言えばなら自分を組織の捜査に加えてくれってなるのは目に見えてて、仮にアンタが俺達の事を言わずにオブラートに包んでそんなことを言ったところで、これまでこう来たんだからいいだろうといったように返すのもまた目に見えてる。いや、むしろアンタがなんでいきなりこんなことを言い出したのかと怪しみ、その原因は何かと探り回るだろうな」
「でしょうね。工藤君の性格的に怪しいとなったら人の周囲を探ろうとすることは」
「あぁ、自分は探偵であるのだし奴らに近付く事も含めて不安要素は避けようという形でな。だがそんな自分がこうしたいからで進めてきた行動はアンタも含めて何か決定的なダメージを負うようなことはなかったが、ピスコの時の件でこのままアンタを放っておけば取り返しのつかない何かが起きることを懸念してこうして話をしに来た訳だ・・・もしいざとなればここに電話をしてきてほしいと伝える為にな」
承太郎はそんな新一の事を色々な意味で信用出来る筈もないと告げた上でピスコの件が引き金になったと言った上で、コートのポケットからある電話番号の書かれた紙を取り出して志保に見せる。
「・・・この電話番号は?」
「この家の近くに何人かスピードワゴン財団の人間を表向きは引っ越ししてきた新参者という形で潜ませているが、これは連絡役として常に待機している奴に繋がる電話番号だ。もしもう工藤と共にいることに関して限界を感じたならこの番号にかけてくれ。すぐにアンタをその人物達が保護するように動こう」
「・・・私の為にスピードワゴン財団の人を配置したの?」
「アンタの為というのも無いわけじゃねぇが、工藤の周りで組織絡みの事件が起きることから事が解決するまでは毛利探偵事務所であったり、この家に工藤邸の周りだったりといざという時に動ける人員を配置した方がいいと判断した為だ。だからアンタの為だけにそんなことをわざわざしたというだけじゃないから、気にしなくていい」
「・・・そう言ってくれるのはありがたいわ」
志保もすぐに何の番号なのかと聞くが、返ってきた返答もだが気を使わなくてもいいといった声も受けてそっと安心したというように頷く。
「・・・ただ勿論分かっているだろうが、この電話番号や俺達との話に関しては勿論工藤やこの家の家主にはバレないようにしておいてくれ。バレれば先の話のようになることもそうだが、事が済めばアンタもそうだがこっちの二人も元の名前やら立場に戻るようにと勝手に進めかねねぇんでな」
「・・・元の名前や立場にって、どういうこと?」
「私に関しては死人から元の立場に戻るのは却って危険ということからだ。もう枡山憲三としての私はマスコミが死亡したと発表したからな・・・そして組織についてを大々的に発表など望まれんのはつい先程言ったこともあるから、私はもう名前も顔も変えてスピードワゴン財団の人間として後は生きるつもりだ」
「その点で私は裏から手を回せば一応は死亡届を撤回して表でもひっそりと暮らせる可能性はあるとは承太郎さん達は言ってはくれたけど、ちょっと問題があってスピードワゴン財団に所属した方がいいって思ったからもう実は生きていたなんてことにしないようにしようって思ったの・・・」
「・・・何?その問題って?」
しかしすぐに承太郎が口を固く閉じるようにと言ったことに志保はどういうことかと眉を寄せ、ピスコが自身の事を答えて明美も続けて答えるのだが、明美に問題があるとの事に何かと志保は先を促す。









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