探偵の想う矜持に力は更なる暴に砕かれる

「・・・しかしここで話を聞くまで死刑囚がそこまで危険だなんて思いはしませんでしたが・・・それでも一応五人は人間だっていうことなら、奴らに対抗出来るようないわば超人って奴は存在しないのかって思うな・・・そんな死刑囚になるような奴らばかりがすげぇ力を持ってるって聞くと、そういった人物が出てこねぇもんかって思っちまうよ・・・」
・・・それで話が終わるのだが、そこで切実に小五郎が五人に対抗出来るような人物の登場を願う声を切実に漏らしたことに、優作達の顔が何とも言えないといった形に歪む。
「・・・実のところ一人だけですが、死刑囚達に勝てる可能性が相当に高い人物がいることは僕達全員把握しています」
「何?だったらその人物に話をして死刑囚達を倒してくれって頼めないのか?」
「・・・その人物が死刑囚達より危険な人物だからですよ。いえ、アレを人と呼んでいいのかどうかとすら思います・・・何せ奴は死刑囚達の事を知るような業界の人物達の中で、地上最強の生物と呼ばれるような存在なのですから」
「・・・地上最強の生物?いやいや、ライオンだとかホッキョクグマだとか色々いるってのにそこまで言われるなんて、流石に誇大広告だろ」
「・・・奴はそれらを素手で屠り去っているという逸話があるとのことです。無論あくまで話だから与太話ということも有り得ると言いたいのですが、少なくとも間違いない事実だと話せる話として奴は総理官邸に総理を殺しに行くと電話をし、テロ対策にと集まった装備を整えて待機していた特殊部隊百人を一人で余裕で倒して当時の総理の元に現れたとの事です」
「なっ・・・!?」
そんな声に安室が心当たりの人物についてを話していくのだが、その人物についてのエピソードを聞いて小五郎はたまらず絶句してしまった・・・地上最強の生物というのは大袈裟だろうという気持ちはあったが、特殊部隊百人を相手に一人で勝つなんてあまりにも現実離れし過ぎていると。
「言っておきますがこれは嘘ではありません。実際に起こった事です・・・ただそんなことを馬鹿正直にニュースなどにすれば日本政府の威信が一気に下がることもそうですが、何より奴の機嫌が悪くなる可能性を懸念して決して表沙汰にしないようにとされることになったんです」
「機嫌が悪くならないようにって・・・」
「奴も死刑囚達と同じく好き勝手に振る舞い、人に暴力を振るう事は珍しくありません。そしてその中に死者が出ることも珍しくないとのことですが・・・下手に奴の事がニュースに出てその事についてを周りが囃し立てるような事をして、奴の機嫌が損なわれたらその場が一瞬で惨劇の場に変わる可能性は決して否定出来ないんですよ。そして今のエピソードからも分かるでしょうが、奴を捕らえるなんて事はそんな簡単に出来ることではありませんが・・・人々はそんなこと知ったことではないと奴の逮捕が出来ない警察やらを情けないというように騒いでいくでしょう」
「あぁ・・・どれぐらいの脅威があるのかなんかとか理解する気なんか一切ないのに、失敗したって事だけに注目して文句を言うばかりの奴らは一定数は確実に出て来るだろうな」
「えぇ。それに金品や地位などで骨抜きなんてことは出来ないどころか、下手をすればその話を持ち掛けた瞬間に命を失いかねない可能性すらあるということです。なのでどうしても言う事を聞いてもらいたいというなら機嫌がいい時に頼み込むか、奴を負かせて言う事を聞かせるというくらいしか想像が出来ませんが・・・前者は今言ったように下手な事を言えば機嫌をいつ損ねるか分からない部分がある為に現実的ではありませんし、後者に至ってはそんなこと出来るような存在がいたらそちらに最初から話をする方が断然建設的ですよ」
「あぁ・・・言う事を聞かせられるくらいに強いんなら確かにそいつに頼めって話になるだろうし、そんな簡単に倒せるような奴なら地上最強の生物だなんて言われる訳ねぇか・・・」
続けて安室は何故表沙汰に事態がならなかったのかについてから話題を広げていき、それらの中身を受けて小五郎は何とも言い難いといった様子になるしかなかった。事実と言っていることもあるが、それ以上に性格の危険さからどうしようもないから放置した方が断然いいということに。









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