領域を踏み荒らす者に渡す報い

・・・それから数日の間、二人は工藤家を中心としてその周辺を警戒しながら生活をしようとした。と言ってもその警戒はすぐに終わることとなった。何故なら3日程経った頃に工藤家に明かりが点っているのを確認した後、以降は明かりは点らずにその理由を隣に住んでいる阿笠に聞いたからだ。

何でも阿笠によれば新一を迎えに来た夫妻と話をして色々と時間はかかったが結局は小五郎もそうだが、二人からの話により下手にこの米花町近辺に残るような事は望まれないということを言われて、苦い表情を浮かべた新一を連れて夫妻は自分に挨拶に来たとの事だった。二人は自分の所に来るだろうから、ちゃんと新一の事が解決して体が元に戻るまでは元には戻さないようにすると伝えてほしいと言う形で。

その上で阿笠からは分かってはいるだろうが、新一の事は誰にも明かすような事はしないでほしいとも言っていたと二人は言われた。その答えに関しては元々言うつもりはないとすぐにルルーシュは返した。まず信じられるはずが無いということもそうだが、それが信じられた場合が面倒になるというのが目に見えるからと。

その返答に安心した阿笠だったが、蘭に対してちゃんと誤魔化し続けなければいけない貴方の方が心配ですよ?・・・と皮肉を盛大に効かせた言葉と微笑をルルーシュが送り、盛大にドキリとしたよう体を揺らした。証拠を揃えたとは言え新一の事を明かしてしまった前歴があったために。

そんな言葉を残した後に二人は阿笠邸を後にした。もう聞きたいことは確認し終えた事もあるが、そもそも新一に小五郎を騙す形で事務所に入り込むように入れ知恵したのは阿笠だったとの事から、あまり長居するしても気分は良くないと感じていた為に。

・・・そうして一応工藤家の出した結論に関して確認した二人はその足で小五郎の元に向かった。その話をするために。






「・・・そうか、二人は新一を連れてどこかに行ったか・・・」
「・・・大丈夫ですか、毛利さん?」
「あぁ、大丈夫だ。この数日で大分落ち着けたし、二人に連れられていったってんなら一応は新一も大丈夫だろ。まぁあいつは不本意じゃあるだろうがな」
・・・それで小五郎の所に来た二人は報告を終えるのだが、その表情は大丈夫との言葉通りに落ち着いた物となっていた。
「・・・新一の事については考えはまとまったんですか?」
「あぁ。ついでに言えば優作さん達についてもな・・・優作さん達には色々と世話になったし新一にもそんなに会えないなりに気をかけてたつもりじゃあるが、もうあの人達との交流はしねぇことにした」
「っ・・・本気ですか・・・?」
「あぁ、本気だ・・・新一は自分の事ばっかりで、優作さん達もそんな息子の選択を優先しようとした・・・もし新一がどうにか無事に元に戻れたって、新一はあの様子じゃ懲りるなんて事はねぇだろうし事件にだって平気で首を突っ込むだろう。その時に同じような事が起こったなら、また俺が利用されるか面倒を見なきゃなんねぇだろうし、優作さん達は自分達で新一の為にって気持ちを出してくれるとも思えねぇ・・・そんな自分勝手な人達との交流なんかはやりたくねぇって思っちまったし、何より新一が自分からか望まれてかはともかく事件に関わる回数はハッキリ言ってひでぇとしか言いようがねぇ・・・そんななのに同じような危険な事件にもう巻き込まれねぇだとか同じような事は起こさないなんて言われたって信用出来ねぇし、そんなのに巻き込まれたくねぇ・・・だから俺はもうあの人達とは関わりたくねぇし関わらないようにする。そして蘭と新一がもし結婚するような流れになれば、反対されるだろうが俺は確実に止めに入る・・・まぁ蘭は俺の言うことなんか聞かねぇだろうがな」
「「っ・・・」」
・・・いかに悩み考え抜き、そして結論を出したのか。
カミーユの新一に対す態度を問う言葉に対して小五郎は優作達も含めた上でどのような結論を出したかを迷う様子なく口にしていき、ルルーシュも含めてその答えに眉間にシワを寄せる。ただそれはその決意に反対をすると言うわけではなく・・・
「・・・んな顔すんな、オメーら。確かにオメーらがきっかけじゃあるが、俺自身は話を聞けてこう考えられたことは良かったと思ってんだ。だからオメーらが気に病む必要はねぇよ」
「・・・そう言ってくれてありがとうございます」
小五郎はそんな二人にお前らが悪いわけではないと笑顔を浮かべて言い、ルルーシュはカミーユと共に頭を下げる・・・結果的に新一はまだしも工藤家全体と交流しないと決めさせたことを申し訳ないといった気持ちになっていたのを慰められた為に。









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