段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「ただよくもまぁ工藤君は転落の道を歩み続けたもんだね。話を聞いただけだけど親や友達に滅茶苦茶それは良くないって言われ続けてきた筈なのに、そんなことはないとか俺が正しいって今も言い続けれるなんて・・・まぁそうでもなきゃ人としてというか探偵としてみたいな考えを持てなかったのかもしれないけど、正しい事だけしてて顔が良くてカッコいい様子を見せたら恋愛は惚れて満足してはいオシマイなんて単純な物じゃないんだよ。むしろそんなカッコよさだったりとは無縁にガッツリ体を求めるような野性的な気持ちを向けられた方が嬉しい事だってあるのに・・・時には理性なんか捨て去って獣のように貪られるようなことをされた方が女として求められてるってね・・・!」
その上で新一に対して理屈やカッコよさだけじゃ無理だと、マリは途中から恋人との情事を思い返しながら喜悦に浸るように頬を染めながら自分の体を抱いた。それこそが幸せだというよう。






・・・恋愛において顔がいいだったりカッコいいだとか、口が上手いというのは有利な要素として働きはするが、それが恋愛において絶対に必要だという決定的な要素ではない。あくまでいくつかの要素であって、それだけでうまくいくというならお喋り上手なイケメンや美女が振られたり別れたりといったことは無いだろう。

そしてそういった点で重要というよりそもそもの前提になるものだが・・・いかに他の動物にはない理性と言った物を持とうが、人間も動物というカテゴリーに入っていて種の存続を本能的には望むが故に、性的な物を惹かれた相手に求めるのである。これは男性も女性も変わりなくだ。

ただこのご時世においてそういった普通とされる考え方とは違うマイノリティな生き方や考え方も出て来て、決してそれらだけが正しい生き方ではないというように言ったり行動する人達も出て来てはいるが・・・新一は考え方も発言も確かにマイノリティな物では無いのだが、性的な物を理屈だとかカッコよくあるべきといった姿勢を重んじるあまり、それを出すことを考えることすら基本的になかった。

ただそれでも新一の蘭に対する気持ちは強いからこそ、何度も何度もデートに誘ったり話し合いをしようとなるわけだが・・・そのことごとくで事件が起こることはここでは置いておくが、それらのデートは確かに力が入っていて遊園地やら高いレストランやらに連れていくばかりか、そこでかかった費用やらを一切蘭に出させないように徹底した物ではあった。一見するなら大人の男としての振る舞いをしているというよう・・・しかしそこには一切蘭を性的に求めたいといった気持ちは込められていなかった。その後に家やらホテルやらに二人で行って、セックスしたいといった下心や男としての本能なんて全くない形でだ。

確かにデートだったりの度に事件が起きればそういったことが考えにくくなるという気持ちになるのは、まだ仕方無いと言える部分はあっても不思議ではないだろう。だが有希子や優作達もマリの言葉を受けてデートしてはいおしまいと終わらせるだとか、自分達は晴れて恋人関係になっているんだから自分のことを蘭もよく理解してる筈なのに不満を言うのはおかしい訳と、決して自分の責任じゃないしこれでいいと思うしかしない新一に様々に言葉を送ってきた。もういい加減に蘭に手を出せというように強要する訳じゃないが、恋人になったからこそ今までのやり方だったりもだが・・・大人になっていくのだから、いい加減大人の恋愛についてどうするべきかを学んで考えていくようにとだ。

だがそのように何度も話して言ってきても新一は聞く耳を持たないままに動いていき、高校卒業の際に少し距離を取ろうというよう蘭から言われた時も実際に別れようと言われた時も、何でと嘆いて有希子達の言葉を受け止めて振り返ろうともしなかったことに、有希子達も新一のことをもう半ば諦める事にしたのである。一人にして成長すればいいけど、成長しないならもう新一が結婚をするというような事はないと見るべきだと。









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