段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「その点で話には出てこなかったけど、多分宮野さん達には一応話はされてそうな感じはするんだよね。そしてその上で断られてそうなのも分かるんだよ・・・毛利さんの代わりに工藤君と付き合う気はないかってやり取りがあっただろうことは」
それでそんな有希子についてから二人とこういったやり取りがあったのではと漏らしていく。新一と付き合ってくれと言ってそれが断られたというくだりがあった可能性が高いと。
「まぁあの二人に断られたら工藤君が結婚なんてまず簡単に出来るとは思えないけどね。工藤君の性格的によく知らない娘を簡単に彼女になんて出来るようなタイプじゃないだろうし、見合いとかで結婚とか絶対に嫌だって思うだろうしね〜。だから有希子さん達は出来るならあの二人のどっちかに工藤君を託したかったと思ってただろうけど、もう二人は高校の時には工藤君に見切りをつけてたんじゃないかな?大学でも友人だったのは今までの縁もあってなんだろうけど、あぁやってもう今生の別れみたいになってもいいって感じになる辺り、以降も工藤君に関わってたら恋愛感情とか関係無くズルズルと付き合わされる事になるだろうってのが目に見えてるからって事でね」
そしてだからこそ二人は見切りをつけたのだろうとマリは口にしていく。大学卒業と共に新一との関係を切らなければならないと思ったのだろうと。






・・・実際の所として、マリの予想は当たっていた。大学に入る前に新一と蘭の関係が限界に来た辺りから有希子達が志保と世良の二人に、将来的にもう新一達の関係は駄目になるとしか思えないんだけれど、どうにかその後に新一と付き合ってはくれないかというように言っていたことは。

だが当然というか二人はそんなことはしたくないと言葉を選ばずにキッパリと断った。ここで妙に言い淀んで何か希望があるのではないかという勘違いをさせまいと、断固とした意志を持ってだ。

その為に有希子達も分かっていたとばかりにそれなら仕方無いというように言って諦めたのだが、それで二人が面倒になるのが分かっているのに新一と同じ大学に通うと決めたのが何故かと言えば、勉学に励むためという気持ちも勿論あったが新一と蘭の関係を見届けた上で新一について様々に見切りをつけるためでもあった。

もう大学に入る前には既に前に志保達が話したよう、新一との距離感に関してを以前より空けるようにと二人は動いていた。もう蘭の気持ちが著しく離れているのは見ててもそうだが、実際に話して新一に対しての失望が大きくなっていることを聞いたのもありだ。だがそれでもまだハッキリと別れを切り出さなかった蘭の未練を感じ取っていたからこそ、二人は園子と共に蘭のメンタルのケアもだがさりげに別れる方向へと話を進ませた。

それで時間は進んで大学三年で二人が別れる事にまでになった時になった頃には、恋愛感情は二人の仲についてを知っていってマリの話を聞いたことで完全に消え去ったが、友人関係を続ける事についてももう志保達は止める事を決断したのである。

・・・一応二人が別れるようにと仕向けはしたが、それでも新一がどうしてと相談に来る事があったので、マリからの言葉をそのままは流石にということである程度噛み砕いたような助言を送ったりもしてきた。これは二人がやり直せるならそれに越したことはないと思った上で、志保達からして新一は恩人という存在なことには変わりはないのだから、一人の人間として成長してほしいという願いもあってだ。

しかしそれも結局というか新一は自分が正しいのにという考えが変わることなく進んでしまった事により、もう二人が別れるとなった時には志保達も呆れる形で友人関係を止めると明確に新一に告げ、距離を公式に取るようにしたのである。どうせ新一の事だからハッキリ言わないと自分は悪くないんだからどうにかしてほしいとすがるように言ってくるのは目に見えていた事から、もうその姿勢や考え方を変えられないなら友達としてすら付き合いたくはないと言い切る形でだ。

そんな事を言って何も返せなくなった新一と距離が出来た後、志保達は園子とどうにか更なる打開策はないかと考えた結果として、新出に蘭と付き合ってもらうように働きかけられないかとなり、その結果として蘭と新出は付き合うこと及び結婚するとなり・・・最後の仕上げとして有希子達の期待もあるが新一が万が一すがってくる可能性も考えた上で、二人は東都から離れようと決断したのだ。もう物理的な距離が出来て連絡が出来ないならいかに新一でも諦めざるを得なくなるだろうと・・・









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