段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「・・・新一が高校生になる時に私達は新一なら一人暮らしになっても大丈夫だというように思って海外で暮らすようにしたわ。けどその中で新一が完全に一人になる訳じゃなくて蘭ちゃんを始めとした周りの人達がいるから、何だかんだでそこで助けを得られるだろうからっていうように思っていた部分も今となっては大きかったと私達は感じたの。そして実際に新一は蘭ちゃんを主にとする形で周りの助けがあって生きていって、それが普通だっていうようになっていた。でももう蘭ちゃんもそうだし園子ちゃんも大学を卒業したら結婚するということや、志保ちゃん達は距離を離すと言っていて環境はもう大きく変わることになる・・・なのにそういった人達をまた頼る事なんて普通に考えたら望まれる事じゃないのは分かるでしょう?」
「まぁ確かにそうなりますね。普通に考えたら新たな門出を迎える人達を自分の勝手に付き合わせるなんて良くない事です」
「えぇ。でも新一は昔からの仲だろうというように言って態度を変えないのは目に見えてるの。まだ蘭ちゃんに園子ちゃんは結婚したからで抑える事は出来るかもしれないけど、志保ちゃん達に関しては結婚してないのもあるから事件が起きたら解決の為に協力してくれって平気で言ってくるのがね」
「・・・えっと、一応二人って就職っていう形で東都を離れるっていうのに、事件が起きればそんなこと知らないって風にですか?」
「「「・・・」」」
有希子は新一が一人暮らしを本当の意味でしてなかった上でもう周りの環境が変わる事を話していくからこそと話をしていくが、マリは何もしなければ態度は変わらないだろうという中身に少しドン引きしていると言った様子に、三人は揃って何とも言い難いといった表情に変わった。
「・・・残念な事だけど、彼ならやりかねないというかやるだろうというのは間違いないわ。現に大学の時も彼は事件が起きたから調べてほしい事があるって私に連絡してきて、私の都合なんか事件の解決の方が大事だろって言って押し通すなんてことはよくあることだったのよ」
「僕もその点で手伝ってくれっていきなり呼び出されたことは何度もあるんだ。お前からの視点でちょっと考えてみてくれってね。まぁ一応僕も探偵になりたいっていう気持ちがあったから志保さんよりはマシではあったけど、こっちの都合を気にしないでくることには変わりはなかったよ」
「・・・そういった点でも新一が子どもの頃から成長してないって風に言えるポイントなのよ。事件の解決は何より重要だからって事で、頼むっていうように言って人を平気で巻き込めるというか使う事が出来るってことでね・・・実際私や優作さんも日本に帰ってきてる時もそうだけれど、日本にいない時でも助けてくれって言われる事は」
「うわぁ・・・滅茶苦茶一人でとかって風になってないじゃん、それって・・・」
その中で志保からどういった事があったのかをエピソードとして話していく三人に、マリは更にドン引いた様子を浮かべた。こんなことに巻き込まれてきたのかと。






・・・いざ事件が起きれば新一は事件の解決の為に手段もだが、志保達の迷惑を顧みないのはよくあることであった。これは志保達なら迷惑をかけていいというように考えているわけではないが、志保達は自分と同じように考えているというように思っているからこそであった。

だがそういった行動に関して元々から呆れ気味だった志保もそうだが、マリの話を聞いた世良に有希子も蘭との未来も含めて将来的にこれでいいのかというように考えていたのだが・・・それらの行動が大学に入っても変わらなかった事について、やはりという気持ちになっていったのだ。新一はこれが自分にとっても皆にとっても正解だと思っているから、この行動の仕方を変えるつもりはないのだと。

ただ有希子はそんな新一に対してもう大人になっていくんだし、探偵になったら尚更そんなことを気軽に志保ちゃん達に頼んでいいわけないと色々言っていくのだが、結局新一はこれでいいという態度を変えることはなく・・・もう有希子も優作と話をした上で駄目だと判断したのだ。新一に何だかんだで手を貸すような事をすることは新一を調子に乗らせるだけだから、そんな環境にしてはいけないと。









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