段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「・・・僕も二人には色々世話になったからどうにか仲の改善をしたいって風には思ったよ。でも新一君はデートをすればいいとか話をすれば分かってくれるみたいな事を言ってずっと変わらないままなのは見てきたし、マリさんの話を受けてこれ以上は無理だって思っちゃったんだ。でも蘭さんにそうするなんて言ったら彼女の事だから、逆に新一君の事を諦めないみたいに言い出す可能性もあるんじゃないかって・・・」
「有り得ない話ではないわね。彼女の性格的に心残りがあるならいっそ自分が頑張るって結論に行きかねないもの」
「うん。だから園子さんにもちょっと僕から同じように話をするようにするから、出来るだけ僕達でそういった風に話を進ませたいんだ。じゃないとこれがまだ高校を卒業するまでとかで終わるとかっていうんならまだしも、中途半端な形で喧嘩してはまた仲直りの形になる度に僕達にどうにかしてほしいって新一君か蘭さんかのどちらかか、はたまたどっちもに泣きつかれるなんて事がこの先の人生何十年で付き合うことになりかねないってのも有り得ると思うからさ・・・」
「・・・嫌な想像だけれど、そんなことにならないと強く否定出来ないというのが尚更嫌な物ね・・・」
ただ一応二人に関しての気持ちが無いわけではないとは言うが、それを凌駕するもしもの未来についてを嫌だと口にする世良に、志保もまた否定を返せなかった。有り得る未来としか思えないと。
「そうなんだよ。だから後はもうそういったように別れる方向に話を自然に持っていった上で、新一君とは距離を離そう。ここでそうすると選択しなかったら本当に高校卒業以降も彼の成長しないワガママに振り回される事になると思うから・・・」
「・・・分かったわ。もう私も話を聞いて成長しない工藤君じゃ毛利さんとの仲を解決なんて出来ないだろうと思ったし、そんなことに以降も関わりたくないもの」
だからこそ自分の言うようにしよう・・・そう真剣に願う世良の声に志保も頷いて返した。もう自分もそんな物に関わりたくはないと・・・


















・・・そうして二人は後で園子だけを呼び出して(新一がコナンだったことに関連する事は園子は知らないのでそこを省いた)話をするのだが、マリの話した性的な事に関する所では顔を赤くしたものの、それらもまとめて受けて自分もそうすると頷いた。この辺りで本来の園子なら昔からの関係もあって新一と蘭の仲を取り持つのではと思われたが、マリからの話でこれからの二人の関係を考えると新一を蘭と別れさせておくべきと将来的に考えてとのことだった。

だがその一方で自分達だけで事を進めても良くないことになる可能性もあるし、下手に新一がどうにか助けてくれと言い出して場をかき回される可能性も考慮してもあるし、更には万が一新一を修正出来る可能性があるなら家族からの言葉じゃないかということで、それらの考えから園子は有希子へと連絡し事の経緯を説明した。特に優作に有希子の二人がいきなり現れて新一だけの話を聞いて行動されても困ることになりかねないから、先に話をしておきたいと。

そんな園子からの連絡を受けて有希子は優作を置いて一人で帰って来て改めて三人からの話を聞いた後、しばらく優作さんには話をして一人で活動してもらうと共に私は家にいて新一を矯正するようにすると三人に告げた。親として話を受けて流石にこのまま新一を放っておけばどうなるか分からないどころではなく、このまま行けば新一と蘭の関係が終わるだけで済まない可能性すらあると感じたというように言う形でだ。

そんな有希子に園子はお願いしますというように言うのだが、三人はもう結果はどうなるのかに関してはうっすらと予感していた。まずこうなるのではないかという予感を・・・



















・・・そうして五年弱といった時間が過ぎることになるのだが、とあるオシャレな個室居酒屋に場面は移る・・・









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