領域を踏み荒らす者に渡す報い

この犯罪というのは戸籍の事を出したが、まず言えることは身分の詐称だ。いかに高校生の体から子どもの体になったとは言え、その立場についてを黙っていた上に『江戸川コナン』などという偽名まで持ち出してきたのだ。これが身分詐称ではなくてなんだという話になる。

そこに付け加えて言えばそんな身分詐称をしている子どもを小五郎が受け入れたとした場合、もし何か・・・例えば病院だったり身分の証明、それこそ役所などで『江戸川コナン』についてを調べられたらそれこそ一発でアウトだ。ルルーシュ達が小五郎に調べてもらったよう戸籍のない『江戸川コナン』についてを知られれば当然新一はどういった子どもなのかといったことになる上、小五郎にもそんな子どもを預かっていたのはどういうことだとの責任についてを問われる可能性が出てくるだろう。何故そんな誰が親だか分からないような子どもを何の手続きも取らずに預かるなんて事をしたのかと。

一応小五郎は阿笠や新一に騙されたといった旨を話せば少しはマシな状況にはなるだろうが、それでも社会的な信用の問題というものが出てくることは避けられなくなる。その上で阿笠に新一はどういうことなのかとの追求が激しく来るだろうが、問題はそこではなく・・・それでも新一は諦めはせず自分は正しいんだという考えを変えず、その男達を追おうとするのを止めないだろうことだ。

・・・そこまでの執念を持つこと自体はある意味すごいことではあるとは言えるだろう。しかし新一の心境からすれば自身が犯罪を犯しているのに自分は間違ってないし、おっちゃんには悪いことをした程度にくらいしか考えることはないだろう。

だがそうして知らず知らず・・・いや、知っていてそれでもと突き進み自分は悪い事はしていないと認めないのはタチが悪いのだ。これはどちらが正しいという問題ではないが、少なくとも犯罪に手を出し染めている自覚があるだろうその黒ずくめの男達の方がまだ自分達の事を理解していると言える。

・・・別段、ルルーシュにカミーユの二人はそういった復讐の念を持つことを咎めるつもりはないどころか、前世の自分のやってきたことを考えればお前が言うなと言われるようなことをやってきた自覚は十分にある。ただだからこそとも言えるがその自覚があるからこそ、新一の事を許すつもりは無かった。復讐に限ったことだけではなく自覚なく行われる行動がいかに悪質であり、それがいかに人にとって良くない結果をもたらすか・・・それらについてを前世で散々に目撃してきたが為に。






「・・・とりあえず、後は事後の観察を怠らないようにするぞ。特に工藤家に関しては家に夫妻が常駐されるようなことになれば、コナンとしての新一が位置が近いままに存在することになるのと同義と見ていい。そうさせないようにするためにも、数日は阿笠さんのところも合わせて注意しながら生活するぞ」
「あぁ、分かった」
・・・そんな新一の諦めの悪さに危険性を知っているからこそ、油断も慢心もせずに対応する。
ルルーシュが空気を変えて表情を引き締めながら警戒をするように言うその中身に、カミーユもまた真剣に頷いた。決して新一もそうだが工藤一家を小五郎もそうだが、この近くに来させないようにしようと。









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