段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「まぁまずさっきの深掘りは何なのかって言うと、二人の関係の停滞について話が出ただろ?幼い頃からの願いが叶ったからそれで満足したとか、それで事件が起きればまたそこから仲が戻るんじゃないかともマリさんは言ったんだけど・・・そこに追加して言えることとして、蘭さんも新一君と同じように小さな頃からの願いが叶ったってことに最初は満足はしてたんだと思う。マリさんの言葉で言うなら蘭さんも子どもっぽい所は新一君よりはマシにしてもあっただろうからね。でもそうしていざ付き合ってからについては私達も知ってるし話に出たような感じになるんだけど、マリさんと話をしたからこうなんじゃないかって二つ言えることとして・・・二人の関係って精々正式に付き合うってなってから一月くらいがピークだったんじゃないかってことと、蘭さんに自覚はないかもしれないけどもう何度も何度も事件に出会っては新一君と仲が改善されるって事柄に対して、もう事件に出会うことも含めて慣れてきたからあぁなったんじゃないかって事を言いたかったんだ」
「・・・成程ね。確かにそう聞くとどちらも頷けるわ。特に事件に出会うことも含めて慣れてしまったということに関して、そもそもは前からも工藤君と一緒にいる時に数えるのが面倒なくらいに出会していたけれど、もう彼女も事件に慣れてしまうほどに経験の積み重ねてしまった・・・と」
「もっと言うなら新一君への不満やらが溜まっていったのも相まって事件への慣れが加速したんだと思う。事件に対しては解決した方がいいという気持ちや考えはあるだろうけど、付き合ってからも事件が起きて止まないことに苛立ちだとかの新一君に対する気持ちを抱くから、事件が起きたり死体を見ても気持ちが紛れる形になって慣れてしまうって風にね」
「あぁ・・・そのつもりはなくても、工藤君が毛利さんを事件に慣れさせてしまう一因になってしまったって事なのね。そしてそれが関係の悪化に繋がったと・・・」
それで世良が何を考えたのかと話していく中で慣れについてを強調していき、志保もその中身に疲れたように納得する。いかに事件に出会ってきても簡単には慣れなかった蘭でも慣れる事になるのは分かると。
「まぁピークが一月って言ったのも精々そんな風にならなかったのがそれくらいの期間だと思ったんだけど、話の中じゃ停滞みたいに出て来たけどもう何ていうか下降していってるようにしか思えないんだよ。まだ迷ってる様子の蘭さんに言うと残酷な事になるから言わないようにした方がいいって思ったけど、もう本当に余程の事がないと新一君との関係について改善なんて出来ない段階に来てるんじゃないかってね」
「・・・貴女はそう思っているのね」
「うん・・・まぁそう思えたのはマリさんの言葉からなんだけど、その、まぁセックスの事に関してはともかく、もう新一君が状況を打開するための行動を取ると思えないんだよ。それこそ事件が起きてどうにか自分達の仲の解決を願うくらいで、自分が変わる事を考えない様子からね・・・だから蘭さんには言わないようにする形を取りながら、さりげに二人を別れさせる方向に話をしようっていうのもそうだし、少し分かりにくいように距離を取るようにしようって話をしたかったんだ。もう僕としては新一君をどうにかすることは無理だと思ってね・・・」
「あぁ・・・そういうことだったのね・・・」
そしてピークについて口にした上でセックスについては恥ずかしげにするものの、もう新一については諦めようと疲れたようにまとめあげた世良に志保も納得したというように漏らす。確かに蘭がいる中で口にするのははばかられることだと。









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