段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「・・・そういうことなら話を戻すけど、そういった風に変われない可能性は考えておかないといけないし自分はそんなことないって言いたいかもしれないけど、環境が変わって他の恋人とかの話を聞くことになるとセックスを求められないってどうなのかって思うようになる可能性は高いよ。好きだって思うならばこそ一層にって感じにね」
「っ・・・その、真希波さんは彼氏がいるって聞いてるけど、そういうことをしてるの・・・?」
「うん、してるよ」
「「「っ・・・!」」」
そんな世良には触れず時間が経てば身体を求められない事についてをマリが言うと、蘭は恥ずかしげにしながらもセックスをしてるのかと聞くが、アッサリと笑顔からの肯定をする声を受けて三人は顔を赤く染めた。
「あ、流石にこの事に関してはここだけでの事っていう風に収めておいてね。不純異性交遊って学校側に通報されるのは嫌だし、私は毛利さんに聞かれたのと三人には必要な事だって思ったから言っただけだからね」
「そ、それは・・・分かった、けど・・・付き合うのにそんなに必要なことなの・・・セ、セックスって・・・?」
「言ったでしょ、好きになるならこそ一層って。それに男女問わず性欲って存在する物で、特に思春期の男っていう存在がどれだけ性に興味津々なのかは色々エピソードは聞いてるんだよ。かくいう私の彼氏・・・普段はワンコ君って呼んでるけど、ワンコ君は私と付き合う前の頃に私が姫って呼んでた可愛い娘と近い位置で寝食を共にする時間があったらしいけど、そこで姫が寝てる近くで姫を見ながら自慰行為を行ったことがあるって聞いた事はあるよ」
「「「っ!?」」」
マリはその様子にあっけらかんと周りに言わないように言うと動揺しつつも蘭はそこまでセックスは必要なのかと聞くのだが、そこから更に返されたマリの彼氏のエピソードに三人は信じられないと目を見開いた。あまりにも三人からすれば信じられないといった話だった為に。
「色々言いたいことというか引く気持ちがあるのは分かるよ。けどその事についてはちょっと複雑な事情があったから仕方無いって思った上で、私もその事は過去の過ちと承知の上でワンコ君と付き合ってるってことで話を聞いてほしいんだ」
ただマリはそんな三人に事情があったからこそであって、そこに引くのではなく話を聞いてほしいと頼む。






・・・実際マリの言ったことは間違っていない。あくまで人伝に聞いた話ではあるが当時のマリの彼氏はやむを得ない事情で一つ屋根の下で暮らしていた女の子に対して劣情を抱き、その顔を見ながら自慰行為を行い自らの欲望を吐き出した。そしてその後に自己嫌悪をする事になってしまったのである。

だがその当時はまだ彼氏と付き合っていなかったとは言え、状況が状況なだけに彼氏が様々に追い詰められているかに関してはマリも感じていた。それこそ身近にいる魅力的な女性でいて、当時はマリと仲を深めていないのもあって好意的に思う存在にせめて色々と溜まった物をぶつけたいと思うことは。

しかしその当時の状況から始まる全てを説明するような時間もないし、話しても理解して受け入れられるかどうかなんてもってのほかである事を理解しているから、あくまでマリは男が抱く劣情についてを説明する為に彼氏の事を挙げたのである。新一と比較すればいかに彼氏が性的な観点から見れば普通であるのかと。






「当時のワンコ君がそうしたのはほぼ強制のような形でそんな環境になってしまったから色んな気持ちやら感情が入り混じった結果であって、その中には姫に対して惹かれた部分もあってもあるけど、男としての本能もあるんだよ。魅力的な相手に対して種としての本能から性行為をして自分の子を為したいっていうようにね・・・でもそれを寸前で止めることが出来たのは人間が社会の一員である為の理性が働いたからであって、だからこそワンコ君は付き合ってもいない姫にそこまでで踏み止まる事が出来たんだけれど・・・もし工藤君と毛利さんを二人のような状況に置いたとしても、工藤君は理性や理屈云々からそうしない以前に、ハナから手を出すことすら頭に過ぎらなそうとしか思えないんだよ。性欲を抱くとかそんなことすらなくね」
「「「っ!」」」
それでそこからいかに彼氏の状況だとか種としての本能だとかについてを話した上で、新一は彼氏のような事は絶対にしないとしか思えないとマリが語っていった中身に三人もハッとしてしまった。普通は理性を持って手を出さない事が当然と言えるような物だがそんな次元の話ではなく、新一がその状態でも性的な事を考えることすらなさそうというように共通して三人も感じた為に。









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