段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「私もこういうことを言葉にするのってどうかな〜って気持ちはちょっとあったよ?けど今回こうして話すって事で変に遠慮した事を言うのって却って良くないって思ったのもそうだし、まだ言わないといけないことがあるから言っておかないとって思ったから言ったんだ」
「・・・まだ言わないといけないことがあるの?」
そんな反応に少しは申し訳ないと頭をかきながら言いつつもまだ言った方がいいと思ったとのマリの言葉に、志保は何をと先を促すような声と目を向ける。
「うん。まぁ言わないとっていうか聞きたいこととしてはここまで話を聞いて、工藤君との関係について毛利さんってこれからどうしたいって思ったの?一応話の前提としては前より仲が悪くなるのはどうしてみたいな感じの相談じゃあったけど、ここまで聞いて君自身はどうしたいのかなってね」
「そ、それって・・・もしかして真希波さんは私達は別れた方がいいって言いたいの・・・?」
「それは選択肢の一つってだけで君に強制するつもりはないよ。けどいくつかある選択肢の中でもそうするのはかなり難しい方に入るとは思うけどね」
「・・・え?」
そうして出て来たのはこれからの新一との事という言葉で蘭は不安げに中身から別れを勧めてるのかと聞くが、そうでないと言いつつそれが難しいとの返しに三人共にキョトンとする。
「ほら、散々子どもっぽいって工藤君の事を言ってきただろ?そんな彼が毛利さんから別れましょうって言ってもすんなりはいそうします、なんて言うような想像が私には出来ないんだよ。言い方は悪く聞こえるかもしれないけど長年の間の想いが成就したのもあって、俺の物として手に入れたのに今更手放すもんかって風に意地になるのが目に見えてるもん」
「あぁ・・・確かに工藤君の諦めの悪さが筋金入りなのは私も知ってるわ・・・それに毛利さんへの気持ちの強さも・・・」
「うん・・・そう聞くと蘭さんがそうしたいって言い出しても簡単には絶対行かないだろうなって想像はすぐについたよ・・・」
「っ・・・!」
すかさずマリは何故かと理由を返していくのだが、その中身に志保も世良も苦く頷かざるを得ないというように漏らした声に、蘭もハッとした。うぬぼれなんかでは一切無く新一の想いの強さを考えれば、蘭をきっぱりあっさり諦めるなんか有り得ないと感じ。
「分かるならいいけど、一番難しい選択肢って何なのかって言うとそんな工藤君の考えを修正しながら交際を続けることだって見てるけど・・・まぁ今までの話からそれはもうただ難しいなんて程度で言えるものじゃないって三人共理解してるだろうから次に行くけど、一番簡単な選択肢がもう工藤君はこういう存在なんだって思ってそれに合わせてやるのが波風が立たない物で、次がちょっと工藤君と距離を取るって風にしてどうするかを考えるって物だね。これに関しては最初に工藤君を説得して距離を取れさえすれば毛利さんがどうするかを考えられる時間を取れるから、一番無難に進められる選択肢になるんだけど・・・取り敢えず今挙げた四つが私の中で毛利さんが取れる選択肢の候補ってとこだね」
「・・・その中から私は選んだ方がいいの・・・?」
「まぁ大雑把に分けただけだからどの選択肢を取るかもだけど、全く別の選択肢を思い付くっていうのも無いわけじゃないからね。少なくとも私が君の問題に対して考えられる選択肢はこの四つって所だけど、どれを選ぶかに関して考える時間はちょっとは取ったほうがいいよ。勢いでこれって選ぶとこの問題の場合、答え次第じゃ工藤君が束縛めいた事をして君を恋人として留めようとする可能性もあるしね」
「・・・確かにそんな事しないって否定、もう出来ない・・・新一ならやりそうだって、思っちゃった・・・」
ただまだ選択肢はあると続けざまに三つ含めてマリは告げていき、それらを聞いていって蘭は気持ちを落ち込ませていった。もう今となっては下手なことをしたら新一が手段を選ばずに動くと強く感じざるを得ないからと。










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