段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「・・・まぁそこら辺はともかくとして清い交際だとかプラトニックな関係みたいな物を私は否定する気はないんだけど、工藤君の場合セックスがその子どもっぽさから選択肢に上がる事すらないっていう感じなんだと思うんだよ。知識としてはそういうことは頭の中にはあっても実際に行動に起こさないのは、幼い頃から培われてきた彼の正義感や倫理観だったり探偵としての自負からなのか、そういったことは結婚してからだとかって思ってみたいな考えからね」
「・・・それは確かに有り得そうね。工藤君の性格的にそういった所で潔癖に行こうというように考えるのは」
「そうそう。でも工藤君の感じとしてそんな風に小さい頃からの考えとして根付いていた事から、性的な欲求だとか考えっていうものが明らかに同年代の男子とかに比べて無いに等しいレベルになった理由だと思うんだけど、そういったような綺麗であろうという気持ちや考えを守ろうとするからこそ工藤君からしたら今の関係がいいって思ってるだろうけど・・・そこで問題になるのが私と同年代にしてはウブ過ぎる気はするけど、それでも工藤君よりは断然に性的な事に関しての関心は上にある毛利さんとの違いであって、関係の悪化の理由の一つなのさ」
マリはそこから気を取り直して話を進めていっていかに新一が子どもの頃から潔癖だったのではと話していき、志保の理解出来るという言葉を受けた上でそれが蘭との関係の悪化の一つと語っていく。
「まぁ今すぐどうこうとかは流石に考えられないだろうけど、多分毛利さんは意識すれば性的な事について考えられるとは思う。でも工藤君にそんな考えはないとかそんなのじゃなく、むしろ今のままでいいどころか何で自分は正しいのにそれを変えなきゃいけないんだよってなるんだ。子どもらしい性的な事に関しての気持ちを持たない理屈や正論にルールといった物を盾にして、これを曲げる方がおかしいってね」
「・・・だからそんなある意味では純粋な子どもらしさのせいで、同年代である筈の毛利さんとの考えだとか感じ方なんかが年相応に釣り合わないから、二人の関係は悪くなっている・・・といった所かしら?」
「そういうこと♪」
「っ・・・!」
そのままマリは二人というか新一がいかに子どもらしいのかを話していくのだが、そこで志保が察したといった声を向けてきた事に楽しげに肯定すると、蘭は唖然としたという様子を浮かべた。そういうことなのかと。






・・・新一の思考回路はもう小学生に入る前の頃くらいから既に確立されていた。幼い頃から子どもとしてあまりにも良すぎる頭と、父親である優作の影響により読んでいた推理小説から自分もこういった正義の探偵となるというようにだ。

そして実際にその目的通りに探偵としての活動をしていけるくらいの能力を身につけていくのであるが、そういったように小さい頃から考えが固まったことにより恋愛という物についての考えも凝り固まってしまっていた。格好良くキメるままに性欲をさらけ出す事なく接しようとする事を目指す形でだ。

だがその結果が蘭と付き合うまででも何度も喧嘩した上で、付き合ってからはそこに更に輪をかけて回数が酷くなっていっているのである。年齢に見合わない子どもらしい考え方が故に年齢に見合ったような恋愛観をまだ身に着けていない蘭にすら、そういった子どもらしい行動や考え方に不満を持たれるという形でだ。

そしてそんなものだからこそこういった行動が不満だという実例も多々挙がるようにもなった。









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