段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

「そういうことだけどもっと詳しく言うと知識自体は普通の人よりは頭に断然に入ってはいるんだろうけど、性への興味とか考え方とかそういった事に関しての価値観が成長というか、アップデートが同年代と比べると圧倒的に出来てないっていうのを世良さんのメールから感じちゃったんだよね〜」
「・・・え?どういうこと?」
ただ更にマリが新一の性についての考え方やらに感じたことを口にしていくと、蘭もそうだが世良も志保も理解出来ないというような顔を浮かべる。
「シンプルに言っちゃうとセックスしたいみたいな意欲そのもの自体を感じないどころか、子どものようなスケベ心すら感じないんだよ。キスしてみたいだとかおっぱいを揉んでみたいっていうようなくらいのそういったレベルの事すらね」
「・・・それは駄目な事なの?そういった事を考えないようにすることは悪い事とは思えないのだけれど・・・」
「私が言いたいのはとても年相応な性的な欲求とか価値観に関心みたいな物が工藤君に無いことが、今の二人の関係の悪化に繋がってる大元なんじゃないかってことさ。工藤君からすれば恋人として付き合えてる事に満足感を感じていて、性的な事をしたいと思うどころかそんな考え自体がないから二人の関係は停滞してるって風にね」
「「「っ!?」」」
マリはそこから新一の中に性的な気持ちや感情が年相応には思えないと口にしていき、それが関係の停滞に繋がってるのだろうと言った事に三人は想像だにしていないといった答えに驚きを浮かべた。
「・・・君達がそんなウブな反応ばかり見せるから改めて感じるんだけど、ちょっと君達どころか帝丹の生徒達って全体的に性的な事に関して触れなさすぎじゃないかな?高校に入る時に帝丹に入学した頃からずっと感じてたことなんだけどさ・・・」
そんな反応にマリは何とも言い難いといったように漏らす。あまりにもウブ過ぎると。






・・・帝丹は小中高と入れば余程の問題がなければエスカレーター式で進学出来る学校だが、転校生だとか中学や高校からの途中入学も出来る学校である。そして高校からの入学としてマリは帝丹高校に入ったのだが、少しして感じてしまったのである。あまりにも性的な事についてを触れないと言うか、話題に出さな過ぎではないかと。

実際中学の頃は周囲が話題に出す中に性的な話題は少ないと言えるような物ではなかった。流石に先生達の前でもだとか授業の最中だとか、男女入り混じって対面上で話すようなオープンでいてカオスな事になるまではなかったが、それでも年頃の男女として性が話題になることはよくあることだった。

その点でマリは中学の頃から発育がよくて時折男子から漏れてくる声の中にはあのおっぱいを揉みたいだとか、マリで童貞を卒業したいといった声はよくあることであって、同じ女子からもこういう風に成長したいだとかこんな体なら彼に振り向いてもらえるかもなんていうようなことはよく言われていたものだった。

まぁそういった声だとか気持ちを不快と思うかどうかは個人差があり、マリはそういうものだと理解しているから特別不快といった気持ちはなかったが、帝丹高校に入学した途端にそういった会話だとかが一気に無くなったことに違和感を感じたのである。

ただ全くそういったことが無いわけではないが、それもなんというか新一がクラスメイトから渡されたグラビア雑誌を楽しげに読んでいたのを蘭が怒り、夫婦喧嘩と揶揄されるみたいな感じのことがたまにあるくらいで精々小学生レベルどころか、下手すれば小学生の方が性的な事の関心は上なんじゃないかと言えるレベルの幼さではとすらそういったやり取りに感じていた。

そしてそれらレベルの幼さは一部だけじゃなく学校に通う生徒の自分を除いたほとんどに当てはまるレベルなんじゃないかということについて、マリは盛大に感じたのである。あまりにも純粋というには少し幼すぎるのではないかということや、だからこそ今の新一達の状況になっているのだと・・・









.
6/28ページ
スキ