段階を踏まない成長を遂げた愛は大成しない

・・・工藤新一と毛利蘭は晴れて恋人同士という関係になった。新一が抱えていた問題を解決した上で新一が蘭に告白をし、その言葉に蘭が頷いたことによりだ。

それでそうして時間は進み三年生へと進級したのだが、その頃にはあれだけ仲が良かったのはどうしてなのかと言わんばかりに喧嘩ばかりという状態になり、周囲もどうにか二人の関係の改善に努めようとしたがそれらは一時しのぎにはなっても、根本的な問題の解決というような状態にはならずにまた少ししては喧嘩というような状態になっていった。

そんな状態が続いたことに自分達とは違う視点の言葉が必要なんじゃないかと世良は切り出した。いつも近くにいる自分達の視点じゃ根本的な問題が何なのかを見極めるのは難しいんじゃないかということや、恋人と付き合う経験が無いとか少ない自分達じゃ二人の問題点についてを考えられないんじゃないのかと恥ずかしげにだ。

そう言われた蘭達も否定出来ないというようになったことから、蘭達は違うクラスの同級生へと話をしに行くことにした。恋人がいることを公表していて長い事恋愛に触れているという真希波マリという人物へと・・・


















「・・・今日は鈴木さんはいないの?」
「ちょっと園子は部活の関係で来れないって言われたの。だから今日は世良さんと宮野さんとで話に来たわ」
「ふ〜ん・・・まぁいいや。んじゃ早速前の話の続きで、世良さんから渡された君達二人の関係の問題点についての話をすることにするね」
「「「・・・」」」
・・・とある日の放課後の教室の中、マリ一人と蘭達が向かい合う形で椅子に座っていた。
そんな状況でマリが園子がいないと切り出すと蘭が答えた中身に大して興味ないといったように答えつつ、本題を話すと言い出したことに三人はコクリと頷いた。






・・・今マリが前と言ったが、これは前にマリに新一の事についてを話したいと蘭は世良と園子と共に切り出し、話を聞くとマリが言ったことから話をしていったのだが・・・そこでマリは三十分もしない内に話を止めてと打ち切ったのである。色々溜まりに溜まっているのは分かるけれど、話の中身がこんなことがあったんだけど新一酷いよね・・・というような蘭からすれば詳細に新一の事を話しているつもりなのかもしれないけれど、九割以上が私に同調してほしいとばかりの愚痴でしかなかったことにちょっと要点をまとめてから改めて話をしてほしいというように言ってだ。

そんな返しに蘭は酷いと言うが、マリがこのまま話を聞いてたら下校時間を大幅に超えて要点を捉えられないまま話が持ち越しになりかねないこと以上に・・・本当に新一との関係の改善をしたいんなら愚痴って発散してスッキリしたからいいってするんじゃなく、真剣に問題の解決に向き合うべきだと言った事に三人はキョトンとした表情を浮かべた。一体どういうことなのかと。

だがマリが続けた言葉に、次第に三人は納得することになっていった・・・人に悩みを相談する時に男は解決を求めて女は共感を求めるって風な言葉を古い人が残してるけど、今の蘭はまさしくそれで本人としては問題を解決したいって本気で思ってるのかもしれないけれど、愚痴を言う事の方に集中し過ぎてて肝心の新一との問題についてどうしたいかにどうするべきかという話がまだ一切出てこない事で、蘭の話やその様子から解決じゃなく共感を求めてるというようにしか思えない・・・といった言葉にだ。

実際この辺りで蘭は園子や世良などに新一が酷いとか有り得ないというように言うことはよくあり、園子達もよくあることだというように認識していた上でマリの言うように真剣にそれで解決したいというように考えたことがあるのかと言えば・・・皆無であった。蘭は度々新一とはこれでいいのかとしょげるようなことはあったが、園子を始めとした周囲の面々もまたいつものように躓いて喧嘩してるといったような程度の認識しかしていなかった。どうせまたくっつき直すだろうと蘭自身も新一が好きであり、新一も蘭が好きなのは分かるからすぐにまたそうなるというように思ってだ。

だがマリが言ったのはそんな愚痴を言って共感が得られる程度で満足して終わるなら自分を巻き込むなという、普段接点がないのもあって強く突き放す物であったのだが・・・普段ならそこでもういいと怒って引いただろう蘭は、その言葉にゴメンと謝ったのである。マリの言ったことが理解出来たのもあるが、新一との事を本当にどうにかしたいと思っていたのもあってだ。









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