過去を過去とすべきか否か 後編

シャア「・・・私がアムロと共にMIAとなって消えた・・・そう聞くと今となってはそちらの私の結末を羨ましく思うな・・・」

ハマーン「何?貴様、どういうことだ?アムロ=レイを倒して目的を達成した筈なのに、死ぬ事を羨むような事を言うとは・・・」

シャア「・・・確かにアムロをアクシズに機体ごと埋め込み、地球に落ちる姿を私は見ていた。だがそうして見ていたらアクシズはいきなり緑の光に包まれ、地球に衝突した際にその光は爆発と共に地球を覆っていったのだ・・・その光景を唖然としながら見詰めていた我々だが、その光が地球全てを覆って少しした頃に光は宇宙にまで広がってきたのだが・・・その光に触れた私達は感じてしまったのだ。地球の人々が死んでいく断末魔の声と苦悶の感情を・・・」

カミーユ「えっ・・・どういうことですか・・・?」

シャア「・・・後で話し合ったのだがアムロに渡したサイコフレームがアムロの死に際しての意思にだと思うが、それに反応したということになるのでは見られたのだが・・・それが分かった頃には最早どうすることも出来ない状況にまでなっていた・・・そのサイコフレームによる光は我々までに留まらないばかりか、地球圏を覆うように広まると共に全人類が望む望まないだとか例外などなく強制的にニュータイプへと覚醒したのだ・・・地球で死んだ数多の死者の念に触れたことでな・・・」

二人「っ!?」

シャア「・・・最初私は他の者達ともララァとの時のように意識が繋がったこともだが、そのニュータイプとしての感覚が今までとは比べ物にならない程に鋭くなったこと・・・そして地球の人々のそのような念に狂いそうになる意識を我慢したことに何故だと考えた。だが地球圏全てに光が広まり終わった頃に全ての人間がそのようになったことと、その光から伝わってきた意志で何が起きたのか理解したのだ・・・アムロやアルテイシアを始めとした者達が我々の行動に対して、恨みという形で動いたのだということを・・・」

カミーユ「う、恨みって・・・全ての人々を強制的にニュータイプにすることがなんでそんなことになるんですか・・・?」

シャア「・・・そのサイコフレームの光は地球圏に広まって留まることになるのだが、そのせいもあって人々の心はどう隠そうとしてもその思考や感情がダダ漏れになってしまったのだ。そしてニュータイプとしての力がすべからくお前達を凌ぐレベルであったことから、ほんの少し良からぬ事を考えるだけでも周囲の人々はその者の事を感じて警戒なりなんなりといったことをするというようになるのだが、それらが繰り返されるようになっていくにつれて人々の気持ちは段々としぼんでいく事になった・・・要は他者と接する気持ちを人々は持てなくなっていったのだ。少しでも他者に対しての負の感情を持てば周りは絶対にそれらを察知し、他者がそんな負の考えや気持ちを持てばその他者を避けようという形でな・・・」

ハマーン「・・・成程。全ての人類がニュータイプとしての力を持ち過ぎたが故の弊害がアムロ=レイに貴様の妹を始めとした者達によりもたらされたというわけか。だがそれなら魔女狩りのような事が起こったのではないのか?そんな世界になっても良からぬ思考を捨てられん犯罪者であったり、サイコパスといった存在は危険分子として始末するというようにな」

シャア「・・・言っただろう、アムロ達の恨みと。そういった者達であるがアムロ達の意思が動く形で思念が集まり、その者達を決して廃人や死に至らせぬようにギリギリまでの苦しみを与えていったのだ。私もその場面に居合わせることは何度かあったがそれこそ死にも勝る苦しみの痛みを感じるくらいにな・・・そしてその時にアムロ達の声が聞こえたのだ。地球を潰した貴様らをただで死なせるつもりはないし、辛いからと死に逃げるような真似を許すこともしないとな」

カミーユ「・・・アムロさん達がそんなことを・・・」

シャア「・・・私もその時はアムロやアルテイシアがそこまでになるのかと思ったのだが、その時にハッキリと伝わってきたのだ・・・私のやったことを絶対に許すわけにはいかないという思念が・・・」









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