過去を過去とすべきか否か 後編

「何を驚いているんですか?今貴方自身が認めたじゃないですか。僕が言った連邦や地球を倒すまでしかイメージ出来ていなかったというような言葉を。それにアナハイムについてを言った時も自分も含めた周りと同じように気が抜けたと・・・本当に貴方が業を背負う為に行動していたというなら、そんな気が抜けただとかそれまでしかイメージしてないみたいな言葉に同意なんかせず、ただひたすらにその業の分を脇目も振らずに動くべきなんじゃないかと思うんですけれど?」
「そ、それは・・・」
「否定したそうですが、もっと言うならさも総帥を早く辞任出来たら良かったみたいなニュアンスの言葉のどこに業を背負ったと言える要素があるんですか?それこそ地球に住まうヒトだけじゃない命を全て奪うだけ奪っておいて、後はじゃあ人任せにしたいだなんて貴方はただアムロさん達を始めとして気に入らないモノを全部殺したかっただけにしか思えませんでしたよ」
「っ!」
だが更に続けて先程のリアクションも含めて明らかに言葉の重さと釣り合ってないとしか思えないと指摘するカミーユに、シャアはたまらずに引きつるように顔を青くして息を呑んでしまった。否定しようにも否定出来ないボロを突かれてしまったというよう。
「その点で私からも疑問があるのだが、アクシズ落としは電撃作戦で時間をかけずにすぐ行ったというように言ったな?それを踏まえて聞くが貴様、わざわざアムロ=レイがいる場を狙ってそんなことをやったのか偶然からそうなったのか・・・どうなのだ?」
「そ、それは・・・・・・アムロについては、その時に私が決着を着けたいと思って奴にフィフス・ルナの前に私を止めてみろというよう、奴に接触した・・・」
「・・・は?」
しかしすかさず次はハマーンが明らかにプレッシャーをまとわせた空気の中でアムロについてどうなったのかと聞くのだが、極めて言いにくそうな様子ながらも黙ることは出来ないと言葉にしたくなさそうに漏らした答えに、滅多にないといった様子でハマーンは呆けた顔と声を漏らしてカミーユも同じような顔を浮かべた。
「・・・私は、奴と決着を着けたかったのだ・・・だがその時のアムロはブライトなどを含めたロンドベルの連中と共に上の方から鼻つまみ者の外様者として扱われ、そのまま奴らに何もせず行動していたら早くてもアクシズを落とす際にギリギリで顔を合わせる事が出来るかどうかも怪しい状態で、尚且つアムロのモビルスーツはカミーユなら分かるだろうが宇宙用に改造したディジェ程度で、とても私のサザビーに勝てるような機体ではなかった・・・だからあらかじめ私達のやろうとしていることを断片的にだが情報を渡したのだが、それでも連邦はアムロにまともな機体を渡さなかったからサザビーにも使われていたサイコフレームを密かにアナハイム経由で横流しし、奴にガンダムを作らせたのだ・・・情けない機体のアムロに勝った所で意味はないとな」
「・・・そうしてアムロ=レイは出来上がったガンダムでお前との戦いに挑んだといった所なのだろうが、いくらお前がアムロ=レイと決着を着けたいと願った所でそれを周りも分かりましたと意を汲んで、総帥を殺しかねん敵をわざわざ通すような馬鹿な行動はすまい」
「・・・あぁ。確かに皆アムロやロンドベルの者達を通すまいとアクシズ辺りにいた私の元に近付けまいと動いていて、相当な数の兵達がやられることになった。その時の私はようやくこの時が来たと奴と戦い、勝つことになってアクシズ共々奴を忌まわしい記憶と共に地球に落とした・・・」
「貴様がアムロ=レイに勝ったこともだが、その結果として勝ったのに忌まわしい記憶として精算出来たなんて物ではない様子なのはここでは問題ではない・・・問題なのは一層それらの行動で貴様の業を背負うなどという言葉が軽くなったことだ・・・!」
だが言いにくそうながらもシャアがアムロ達の事情や自分の気持ちだったりの色々とを正直に話していく様子に、ハマーンはまた次第に怒りを浮かばせていった。あまりにも言動不一致なシャアの行動に。









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