「・・・そういった者達を見送った私達だが、表向きは誰も言葉にはしなかったがその者達を羨んでいた空気が漂っていた。確かに完全に望んでいた結果ではないのかもしれないが、それでもこれから宇宙の人々を共に導くと思われていた者達がその重荷を負うことなく離れていくと選んだことに」
「・・・言い方が悪いのは分かっていますが、離れていった人達もですが貴方や貴方の周りにいた人達も、結局は武力を持って連邦や地球の政府を打倒するまでしかビジョンが無かったからなんでしょうね。実際に今まで何度も挑戦しても達成出来ていないからこそ先を作りたいとは思いはしても、それを達成する事をまず考えないといけないということに専念してたからいざそれを達成して新しい時代を作るとなって、もう満足してカラッポになってしまったから辞めると消えていく人達と共に同じように後は誰かに任せ、楽になりたいと感じるようになっていった・・・と」
「あぁ、カミーユの言う通りだとは思うが・・・それではい私も辞めますなどと私もそうだが、私の周りも気軽に言う事など出来るはずもなかった。その時には誰か後を託せるような者など他にはおらず、総帥の座を辞するなどと言えば瞬く間に混乱が訪れる事は目に見えていた・・・そのようにすればただ連邦に地球を滅ぼす為だけに総帥になったのかというように言われ、なら後は誰がネオジオンをまとめて率いるのかという話にもなるだろうからとな。だから私や私を総帥としての立場に引き上げた者達は辞職など出来るはずもなく、総帥の地位を辞める頃にはもう私は老人という立場になってしまって後はゆっくり死ぬだけとなったというわけだが・・・それで気付けばこの世界に生まれ変わっていた、というわけだ・・・」
そうして出来るだけ簡潔にというように以降の話をまとめていくシャアだが、二度目の生を受けたと言って疲れたようにカミーユに視線を向ける。
「・・・こういうわけだが、お前はどう思ったカミーユ？」
「・・・少なくともそちらの僕が貴方に対して絶望したのだろうとは感じましたよ。その当時の僕と同じような経緯で動いていたなら月にいると思いますが、貴方がネオジオンの総帥として立ち上がったことや地球にアクシズを落としたことを知ったなら、確実に貴方に対してこんなことをしてほしいと願っていた訳じゃないと嘆いて絶望していただろうと」
「・・・誰かが、人類の業を背負わねばならんかったのだ・・・」



「業を背負う？何を言うんですか。話を聞いていて分かりました・・・貴方も結局貴方の周りにいた人と同じで単に復讐だとか、自分の気に入らない物に対して行動していただけ・・・いえ、もっともらしく行動出来る理由を貴方は欲していただけなんですよ。自分は何だかんだで正しい側にいれるし、戦う為の立場にいれるためにとね」



「なっ・・・！？」
・・・そうしてカミーユにどうかと尋ねるシャアだが、シャアの側の自分についての予想をする声に苦々しくかつてアムロにも言った言葉を口にした・・・だがその言葉をカミーユがハッキリ冷たい声と目で切って捨てた事に、シャアは絶句した。全く予想だにしていなかった反応と中身だったことに衝撃を受けて。









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