過去を過去とすべきか否か 後編

「・・・確かに僕も気持ち良くないという考えはありました。でもそこに関しては一応はアムロさんが決着を着けたのだからと思って一先ずは置いておこうかと思ったのですが、それよりも衝撃的な事実を知ったからこそ僕は貴方に聞きたい・・・そうしてアムロさんごとアクシズを地球に落とした後は一体どうなったかもですが、それ以降貴方はどうしたんですか?まずはそこについてを聞かせてください」
「・・・分かった、話そう」
続けてカミーユも責めるような言葉を吐くのではなく、冷静に抑えるような口調でどうなったか聞きたいと言われた為にシャアは観念したように頷く・・・あくまで声は抑えてはいるが、視線は強い感情を伴っていると分かるからこそ下手に逃げる事は出来ないというよう。
「まず地球だがアクシズを落とした結果として、計算していた通りに地球に生き残った生命体はいなくなっていた・・・アクシズを落とす時は電撃作戦で時間を置かず行動したことから宇宙に逃げ出すであるとか、シェルターに逃げ込むといったことなど出来ぬといった形でな」
「・・・では宇宙はどうなったんですか?」
「結果だけを言うなら宇宙にいた連邦軍は三度程度大きな激突があった後に彼らは全面降伏するとなった上で、後顧の憂いを断つ意味でアナハイムの上層部を一掃した上でネオジオンの管轄の企業として以降、散発的に出て来るネオジオンに対しての反発活動を行う者達を抑えるくらいで基本的に大きな争いはなく、宇宙の人々を解放したネオジオンの指導者として生を終える事になった・・・結果だけを見れば、だがな・・・」
「「・・・?」」
シャアはそこから簡単に結果的にどうなったかを話していくが、端から聞くならジオンを信望する者達からすれば大が付くほどの成功と言って差し支えない結果を出したのに、表情を曇らせる様子に二人は訝しげな顔になる。
「・・・確かに私は地球に残る者達を粛清したいと思って行動を起こし、アムロとも決着を着けたいとも思っていた。そしてそうして作戦は成功してアムロもそこで倒す事が出来た事により、ネオジオンの活動を支持するというものが爆発的に増えて私達の元に馳せ参じたいと麾下につく者達が多く現れた。そしてその結果として連邦からも離反者が大量に出て、奴らの兵力は大きく減り三度の戦いのいずれも大勝といった結果と共にその連邦軍は壊滅的な状態になって、完全に降伏をするとなりネオジオンの勝利で幕を閉じることになった・・・」
「・・・そこまでは分かります。ただ後顧の憂いを断つ為にアナハイムの上層部を一掃したというのは・・・」
「・・・奴らの本質は死の商人であり、死の商人は何か争いが無ければ商売は成り立たん。だが最早地球には誰もいなくなり宇宙もネオジオンが表向きは支配したといった様子になれば、奴らが儲ける為にはどこかにいる不穏分子を探し出し争いを起こすために人々を煽り、それらの者もだが私達にも兵器を売る事は十分に考えられた。そんな事態を避けるために連邦の残存勢力についての問題を片付け終えた後、アナハイムの上層部の者達にネオジオンの機体をこれからも作るための契約をしてほしいというような事を名目にして、奴らを一つの場に集めて片付ける形を取ったのだ。とは言えその場には警戒からか一部現れなかった者もいるが、事前に奴らの事を調べていた事から同時にその者達も同じように片付けた事でアナハイムの上層部は揃っていなくなり、下の者達には大人しく言う事を聞くなら危害は与えないしこれまで通り仕事に従事してくれれば手荒な真似はしないというように言い、アナハイムの上層部に私達の手の者を配備することで完全に残りの者達を子飼いの立場にして妙な事をさせぬようにしたというわけであり・・・もうそれからは目立った敵の勢力や活動など見られなくなったというわけだ」
「・・・そこまで徹底してしまえば反抗勢力も似たような事になると思い、余程の事情がない人達じゃネオジオンに反抗しないという状況になったってことなんでしょうけれど・・・ならば何故貴方はそんな風に晴れない顔を見せ、声も落ち込んだ物になっているんですか?地球も滅ぼせたしアムロさんも殺せて、完全な平和という訳では無いにしても宇宙の人々をまとめ上げるに至った・・・貴方の望んだ事なんでしょう?そのようにしたのは」
「っ・・・」
シャアはそこからどういったように状況が動いた上で自分達が対応し、最後はもう小さな争いしか起こらなくなった・・・というように話していくのだが、終始明るさなどない曇りを感じさせる晴れない様子だったことに、カミーユは言葉だけの問い掛けを向けて更にシャアの顔を苦くさせる・・・もうカミーユもだが先程までは怒りを見せていたハマーンもシャアがそうなっている理由は理解したと感じるような、冷めた様子に変わっていたことに。









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