過去を過去とすべきか否か 後編

「・・・確かにハマーンは私と顔を合わせてすぐ離れようとした。だが前のハマーンなら私の事を見付けたなら何らかの言葉を向けてくると思った私は、何故そうまでして私を避けるのかというように聞かねば収まりがつかないと思ったから、彼女に話をしてほしいとせがんだ」
「・・・その時に私はもうお前と話すことはないと何度も言っていったが、全く話を聞かず話をしてほしいと言ってくるばかりだったから、済まないとは思ったがカミーユを呼んで話をしようと思ったんだ。私だけで話そうとしても冷静に話が出来るとは思えなかった上で、カミーユのことが出ればそれは本当なのかとまた話が止まるだろうことは目に見えたからな」
「そういうことだったんですか・・・」
シャアはそこから表情を引き締めどういった経緯があったのかを説明し、ハマーンが疲れたように補足するやり取りの中身にカミーユも納得したというように漏らす。シャアが本当にハマーンを無理矢理にでも引き止め、それでハマーンが自分を呼び出そうとギブアップせざるを得ない程に追い詰められたのだと。
「・・・何がそこまで貴方を駆り立ててハマーンさんを逃さないようにしたかまでは分かりませんけれど、ハマーンさんが亡くなった後くらいに奇跡的に回復した僕から貴方が何をしでかしたかに、ハマーンさんの事をどのように言っていたのか・・・そう聞いたのならハマーンさんが貴方に対してどう思うのかくらいの想像はつかないんですか?」
「っ、それは・・・」
「ハマーンさん自身も貴方に対して自分に悪い所があったというように言っていました。ですが貴方の発言に行動はハマーンさんと対等の物とは言わないまでも、政治的な物として利用したことも併せて言えば死して尚ハマーンさんを貴方が拒絶したことになる・・・そこまでしたことを聞いてハマーンさんなら貴方への気持ちはまだ残っているだろうと思えるのならどれだけ自信過剰なんだと言えますが、もうハマーンさんは自分の為でもあるけど貴方と会っても貴方を不愉快にさせるだけだろうからと会いたい気持ちは無くなったと言ったんですよ」
「っ、そうなのか・・・?」
カミーユはそんな様子にハマーンの今の状態やら気持ちやらを説明していくと、シャアは信じられないといった視線を向けるがハマーンはそっと目を閉じた。
「・・・それだけ私もカミーユと話したのもあって色々と思う所があったわけだが、逆に私から聞こう・・・お前が私の事をネオジオンの総帥としての演説で糾弾したことはまぁいい。お前の本音もあっただろう上で人心掌握の為に失敗だったり愚行を行った人物を槍玉に挙げるのは常套手段だからな。だがそんなお前がこうも私を引き留めたのはなんだ?私に対しての申し訳無さでもあったというのか?それともアクシズを地球に落とそうとしたことについて、今更ながらに心が痛み私にその胸の内を明かしたいとでも思ったのか?それすらも答えられんのならもう私もだがカミーユも立ち去らせてもらうぞ・・・!」
そこからハマーンは目を閉じたまま話をしていき、最後にはシャアに鋭い視線と共に質問に答えるようにと強い口調で最後通告とばかりに告げる・・・だがそんな物を向けられたシャアは困惑したような表情を浮かべた。



「・・・何を言っている。アクシズは地球に落とそうとしたのではなく、地球に落ちたとカミーユに聞いたのではないのか?」



「「っ!?」」
・・・そんなシャアから出て来たのはアクシズ落としは未遂ではなく完遂したと知っている筈ではとの声で、二人は揃って驚愕に目を見開いた。少しのニュアンスの違いとは到底言えないあまりにも違い過ぎる言葉に。









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