過去を過去とすべきか否か 前編
「・・・そう言ってもらえるのならまだ聞きたい事はありますがそれは置いておきます。僕からはまだ話すこともそうですが、貴女に聞きたい事もありますから」
「何だ?まだ何か私に聞くことがあるのか?」
「はい・・・聞きたい事は本物のミネバ=ザビについて、貴女はどうしたんですか?」
「・・・本物のミネバ様についてか・・・」
カミーユはそんな様子に話を別の物にしたいとミネバの事を切り出し、ハマーンは難しげに眉を寄せる・・・ハマーンが敗れた後に捕縛されることになったミネバであるが、その時にいたミネバは影武者であり本物はハマーンがどこかに逃がしたということは明らかになったのだと一般的に見られていたのだと認識して。
「・・・一応言っておくが殺すようには指示していない。グレミーの軍と戦うとなる直前という時に彼女を影武者と入れ替えるようにして、グレミー側ではないと信頼出来る者へとミネバ様を連れて逃げ出すようにと頼んだが・・・話の感じではシャアはミネバ様を殺したと話しただとか、その身柄を使って総帥の立場に立ったのではないのだろう?」
「はい。その時にミネバについては何も言われることは無かったんですが・・・」
「あの人がアクシズ落としをした三年後にミネバが一度だけ映像越しという形でですが、表舞台に立ったんです。宇宙世紀憲章は実はオリジナルはこうだったと発表するために」
「っ!?」
・・・ハマーンはそんな問い掛けにちゃんと逃がすようにしたと返すのだが、カミーユが口にした話の中身に驚愕の表情を瞬時に浮かばせた。ミネバが一度だけとはいえ表舞台に立ったということもだが、その行動がどういうことか理解出来ないというよう。
「・・・同じような事を言いますが貴女がそういった反応になるのは分かりますし、僕もどういうことかと思って仕事の合間を縫ってネットの奥深い所まで探るように動きました。その結果として事件の全貌までは分からなかったんですけれど、ミネバと名乗る少女が表舞台に立つ前くらいにジオンの残党といった面々が宇宙や地球で活発に動いていたのが確認されたんです。特に地球ではダカールを占拠だか破壊だかの為にジオンの旧式のモビルスーツや、少なくとも僕は見たことのない巨大モビルアーマーで攻め入っている写真や映像があり・・・その中には新型のガンダムらしき機体もありました」
「・・・ジオンの残党の決起に連邦もガンダムを作っていた。そしてミネバ様が動いていたということは、ミネバ様はジオンを率いていたのか?」
「いえ、むしろ逆だと思われます。話の中身は簡単に言うならその宇宙世紀憲章のオリジナルの入った箱・・・ラプラスの箱を巡る戦いがあったというような物であり、その中身を知った自分がラプラスの箱の中身はこうだと開示して争いを止めたいといった物であり、ジオンは滅びるというような言葉も口にしていた上でそのオリジナルの中身を持ってジオンの為にと強硬的な姿勢を取るなら、自分の名を持って粛清するとまで彼女は言いました。例え彼女が偽物であったとしても関係無いと思える程の真摯さが込められていると僕も感じるくらいにです」
「・・・ミネバ様がそこまで・・・」
「・・・そうしてその演説は他にも色々と話して終わる形になったんですが、一度だけという言葉通りもうミネバは表に出ることは無くなると共に、表向きはというだけかもしれませんがそれでもジオン軍が大規模な行動を起こしたといったニュースは流れてくることもなく、僕が亡くなる頃にはもうジオンの名は完全に過去の物へとなっていました。それが自然の流れからなのか裏でミネバやミネバを支える人達が動いたからなのかは分かりませんし、ミネバがその後どうなったかすらもハッキリしていませんからその演説の後に誰かに狙われて死んだから、世に一度も出てこなかった可能性もありますが・・・そこはもう僕には分かりませんが、ジオンについてはそれで少なくとも表向きは終わりになったんですよ」
「・・・そう、なのか・・・」
カミーユはそんなハマーンにいかにしてミネバが動き、そしていかにジオンが衰退して終わることになったのか・・・そう語っていく中身を受けて、ただただ複雑さを滲ませながらうなだれるしかなかった。ハマーンも予想していなかった訳ではなかっただろうが、ジオンの終わりがそのようにミネバをきっかけとして結果的に訪れたといった物に。
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「何だ?まだ何か私に聞くことがあるのか?」
「はい・・・聞きたい事は本物のミネバ=ザビについて、貴女はどうしたんですか?」
「・・・本物のミネバ様についてか・・・」
カミーユはそんな様子に話を別の物にしたいとミネバの事を切り出し、ハマーンは難しげに眉を寄せる・・・ハマーンが敗れた後に捕縛されることになったミネバであるが、その時にいたミネバは影武者であり本物はハマーンがどこかに逃がしたということは明らかになったのだと一般的に見られていたのだと認識して。
「・・・一応言っておくが殺すようには指示していない。グレミーの軍と戦うとなる直前という時に彼女を影武者と入れ替えるようにして、グレミー側ではないと信頼出来る者へとミネバ様を連れて逃げ出すようにと頼んだが・・・話の感じではシャアはミネバ様を殺したと話しただとか、その身柄を使って総帥の立場に立ったのではないのだろう?」
「はい。その時にミネバについては何も言われることは無かったんですが・・・」
「あの人がアクシズ落としをした三年後にミネバが一度だけ映像越しという形でですが、表舞台に立ったんです。宇宙世紀憲章は実はオリジナルはこうだったと発表するために」
「っ!?」
・・・ハマーンはそんな問い掛けにちゃんと逃がすようにしたと返すのだが、カミーユが口にした話の中身に驚愕の表情を瞬時に浮かばせた。ミネバが一度だけとはいえ表舞台に立ったということもだが、その行動がどういうことか理解出来ないというよう。
「・・・同じような事を言いますが貴女がそういった反応になるのは分かりますし、僕もどういうことかと思って仕事の合間を縫ってネットの奥深い所まで探るように動きました。その結果として事件の全貌までは分からなかったんですけれど、ミネバと名乗る少女が表舞台に立つ前くらいにジオンの残党といった面々が宇宙や地球で活発に動いていたのが確認されたんです。特に地球ではダカールを占拠だか破壊だかの為にジオンの旧式のモビルスーツや、少なくとも僕は見たことのない巨大モビルアーマーで攻め入っている写真や映像があり・・・その中には新型のガンダムらしき機体もありました」
「・・・ジオンの残党の決起に連邦もガンダムを作っていた。そしてミネバ様が動いていたということは、ミネバ様はジオンを率いていたのか?」
「いえ、むしろ逆だと思われます。話の中身は簡単に言うならその宇宙世紀憲章のオリジナルの入った箱・・・ラプラスの箱を巡る戦いがあったというような物であり、その中身を知った自分がラプラスの箱の中身はこうだと開示して争いを止めたいといった物であり、ジオンは滅びるというような言葉も口にしていた上でそのオリジナルの中身を持ってジオンの為にと強硬的な姿勢を取るなら、自分の名を持って粛清するとまで彼女は言いました。例え彼女が偽物であったとしても関係無いと思える程の真摯さが込められていると僕も感じるくらいにです」
「・・・ミネバ様がそこまで・・・」
「・・・そうしてその演説は他にも色々と話して終わる形になったんですが、一度だけという言葉通りもうミネバは表に出ることは無くなると共に、表向きはというだけかもしれませんがそれでもジオン軍が大規模な行動を起こしたといったニュースは流れてくることもなく、僕が亡くなる頃にはもうジオンの名は完全に過去の物へとなっていました。それが自然の流れからなのか裏でミネバやミネバを支える人達が動いたからなのかは分かりませんし、ミネバがその後どうなったかすらもハッキリしていませんからその演説の後に誰かに狙われて死んだから、世に一度も出てこなかった可能性もありますが・・・そこはもう僕には分かりませんが、ジオンについてはそれで少なくとも表向きは終わりになったんですよ」
「・・・そう、なのか・・・」
カミーユはそんなハマーンにいかにしてミネバが動き、そしていかにジオンが衰退して終わることになったのか・・・そう語っていく中身を受けて、ただただ複雑さを滲ませながらうなだれるしかなかった。ハマーンも予想していなかった訳ではなかっただろうが、ジオンの終わりがそのようにミネバをきっかけとして結果的に訪れたといった物に。
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