過去を過去とすべきか否か 前編

「・・・先程カミーユは演説での言葉は全て本音とは限らないと言っていたが、ミネバ様を私の傀儡のようにしてしまったことについてシャアが怒りを見せていた事を考えれば、ザビ家の為にと幼いミネバ様を犠牲にしようとする愚者と見えたのだろう。ザビ家を許せる筈がないと見るからこそ、そんな私を許せる筈がないとな」
「・・・だからザビ家への敵意と貴女への嫌悪の気持ちは本音だったというように感じた、ということですか」
「あぁ・・・それでそう考えていくとシャアの立場やらを考えることもせずにただ私の思う最善だけを求めすぎた私の姿に、シャアの気持ちが良くなくなるというのも今となっては分かるというように思えたんだ。だからこそもう私としては自分の為にという考えもあるが、シャアに会わない方がいいという考えもある・・・私ではどうあがいてもシャアを不愉快にさせてしまうだけだという事を理解してな」
「ハマーンさん・・・」
そうしてシャアについてを話していくハマーンだが、最後に寂し気な笑みを浮かべるその様子にカミーユもその内心を察した・・・考えはまとめはしてもシャアへの想いがあったからこそ、気持ちだけはすっぱりとは切れないのだと。
「・・・あの、もし良かったら何かあれば僕に連絡してください。こういった形で僕達が出会った以上また誰かに出会うことがないとも限りませんから、その時には力になれるかは分かりませんが出来る限りの事はやらせてもらいますよ」
「・・・気を使ってくれるか。昔の私とお前の関係ならそんなことは言わなかったと思うが」
「僕も前の経験があって多少は変わった部分もありますが、それでもこうして出会えて話せた事で今の貴女と敵対する理由はないと思えたんです・・・勿論無理に連絡してほしいだとか言いませんし、僕からは何もなければ連絡するようにはしませんよ」
「フフフ・・・確かに見た目は前とは変わらぬが、いい大人になったな。それもいい大人にな。分かった、連絡先を交換しようか」
だからこそ意を決して笑顔を浮かべて携帯をポケットから取り出して連絡先の交換をと切り出すカミーユに、ハマーンもまたその気遣いを受けて携帯を取り出した。以前なら決して有り得なかっただろう形で、穏やかに触れ合うよう・・・


















・・・そうしてカミーユとハマーンは時折連絡を取り合う仲になると共に、ルルーシュが知り合ったとある一人の少年とも交流することになるのだが、そこでカミーユ達は本来知り得なかった新たな事実を知ることになる。ただそれはまた別の話となる。

それでそうして過ごす内にカミーユの元にハマーンからのメッセージが届いた・・・『シャアに出会ってしまった、助けてくれ』というまさかのメッセージが・・・









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