過去を過去とすべきか否か 前編
「だが現実はそのようにはならず私は負けてしまい、シャアがネオジオンの総帥として現れたのだろうが・・・ミネバ様の身柄を任せた者がシャアにミネバ様を引き渡さなかったのは様々に考えての事だろうが、それが結果的に話に聞くような結果に繋がったのだと思う。百歩譲ってシャアはまだ私のようにすることを毛嫌いしてミネバ様を利用することは選ばなかったにしても、近くにいた者達は確実にミネバ様を逃がしはしなかっただろう・・・そしてシャアが行方不明となったと見たなら、即座にミネバ様を担ぎ上げていた可能性は非常に高かっただろうな」
「・・・あの人がいなくなった後のお飾りの指導者として祭り上げる為にですか」
「あぁ。そしてそうなったらミネバ様に実権などまず渡される事は無かっただろうし、その宇宙世紀憲章のオリジナルとやらもいいように利用されてジオンの終焉は訪れぬどころか、カミーユが死んで以降でもジオンの名は廃れる事は無かっただろうな」
「そうなっていたらと思うと恐ろしいですね・・・一応と言っていいかは分かりませんけど、そのミネバの演説以降は表向きは大きな事はしばらくはありませんでしたから、それでずっとジオンの問題が続いていたならどのようになっていたか・・・」
「・・・しばらくはという言葉に不穏な響きを感じるがそこについてはともかくとして、まず間違いなく火種はどこかしこにと転がったままでいつ爆発してもおかしくない状態が続くならいい方で、シャアがやったアクシズ落としのような事を考える者が出て来る可能性だったり、ティターンズの再来とも言えるような組織が出て来てジオンの弾圧という名の殲滅行為を行ってくる可能性だったりと、挙げれば枚挙にいとまがなくなるくらいに不穏の種はゴロゴロと出て来ただろう・・・そう考えればミネバ様をシャアに委ねなかったのは後々の事を考えれば良かったというように言えるよ」
しかし現実は違ったと言った上でミネバがシャアに引き渡されたならと仮定するハマーンに、カミーユも不穏な響きをもたらしながらの言葉に引っ掛かりつつもそうならなかったことを良かったと、もしもの可能性についても口にしつつ漏らす。
・・・ここでカミーユは何があったかは明言はしなかったしハマーンも察しはついたが、ジオンが端を発する争いは確かに終わることにはなっていった。だがカミーユが50代になった頃にコスモ・バビロニアという団体が現れて一時期宇宙が騒がしかったことがあった。だがその騒ぎは少しして収まることにはなったが、結局地球連邦に対する宇宙の人々の不満は収まることは無いのだというように考えながらカミーユは生きていった。もうジオンはなくなったが、これから先も似たような事は起こっていくのだろうと。
幸いというかカミーユはもうそういった争いに巻き込まれることなく以降は生きていって生涯を閉じることになるのだが、その先もまたどこかで争いが起こることになるだろうというように思いながらの物だった。自分が知らないだけで何処かで争いが起きることになり、それはいつまでも続くことになるだろうというよう・・・
「・・・ただそうしてミネバ様が行動したことに関しては申し訳無いという気持ちもあるのだ。全て私一人だけの責任とまでは言わんが、それでも私がミネバ様に様々な物を押し付けた事もそうだがジオンの事も含め、その後始末をしてもらったような部分はかなりの割合を占めていると感じた事からな」
「あのミネバが全てとは言わなくとも、貴女が悪かったと言うとは思いませんが・・・」
「それでもだ。私の至らなさから様々な重荷を背負わせた事についてを申し訳無いという気持ちはあるが、それと同時にミネバ様がそのように立派に行動されたことを喜ばしいと思うんだ。私の手で生き方を歪めてしまったあの方がそうなってくれたことにな」
「ハマーンさん・・・」
それで気を取り直してミネバについての気持ちを微笑を浮かべながら語っていくハマーンに、カミーユは複雑そうに名前を漏らすしか無かった。かつての鉄の女振りは影も形もなく優しい雰囲気でミネバを想う姿は、カミーユの知らない物だった為に。
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「・・・あの人がいなくなった後のお飾りの指導者として祭り上げる為にですか」
「あぁ。そしてそうなったらミネバ様に実権などまず渡される事は無かっただろうし、その宇宙世紀憲章のオリジナルとやらもいいように利用されてジオンの終焉は訪れぬどころか、カミーユが死んで以降でもジオンの名は廃れる事は無かっただろうな」
「そうなっていたらと思うと恐ろしいですね・・・一応と言っていいかは分かりませんけど、そのミネバの演説以降は表向きは大きな事はしばらくはありませんでしたから、それでずっとジオンの問題が続いていたならどのようになっていたか・・・」
「・・・しばらくはという言葉に不穏な響きを感じるがそこについてはともかくとして、まず間違いなく火種はどこかしこにと転がったままでいつ爆発してもおかしくない状態が続くならいい方で、シャアがやったアクシズ落としのような事を考える者が出て来る可能性だったり、ティターンズの再来とも言えるような組織が出て来てジオンの弾圧という名の殲滅行為を行ってくる可能性だったりと、挙げれば枚挙にいとまがなくなるくらいに不穏の種はゴロゴロと出て来ただろう・・・そう考えればミネバ様をシャアに委ねなかったのは後々の事を考えれば良かったというように言えるよ」
しかし現実は違ったと言った上でミネバがシャアに引き渡されたならと仮定するハマーンに、カミーユも不穏な響きをもたらしながらの言葉に引っ掛かりつつもそうならなかったことを良かったと、もしもの可能性についても口にしつつ漏らす。
・・・ここでカミーユは何があったかは明言はしなかったしハマーンも察しはついたが、ジオンが端を発する争いは確かに終わることにはなっていった。だがカミーユが50代になった頃にコスモ・バビロニアという団体が現れて一時期宇宙が騒がしかったことがあった。だがその騒ぎは少しして収まることにはなったが、結局地球連邦に対する宇宙の人々の不満は収まることは無いのだというように考えながらカミーユは生きていった。もうジオンはなくなったが、これから先も似たような事は起こっていくのだろうと。
幸いというかカミーユはもうそういった争いに巻き込まれることなく以降は生きていって生涯を閉じることになるのだが、その先もまたどこかで争いが起こることになるだろうというように思いながらの物だった。自分が知らないだけで何処かで争いが起きることになり、それはいつまでも続くことになるだろうというよう・・・
「・・・ただそうしてミネバ様が行動したことに関しては申し訳無いという気持ちもあるのだ。全て私一人だけの責任とまでは言わんが、それでも私がミネバ様に様々な物を押し付けた事もそうだがジオンの事も含め、その後始末をしてもらったような部分はかなりの割合を占めていると感じた事からな」
「あのミネバが全てとは言わなくとも、貴女が悪かったと言うとは思いませんが・・・」
「それでもだ。私の至らなさから様々な重荷を背負わせた事についてを申し訳無いという気持ちはあるが、それと同時にミネバ様がそのように立派に行動されたことを喜ばしいと思うんだ。私の手で生き方を歪めてしまったあの方がそうなってくれたことにな」
「ハマーンさん・・・」
それで気を取り直してミネバについての気持ちを微笑を浮かべながら語っていくハマーンに、カミーユは複雑そうに名前を漏らすしか無かった。かつての鉄の女振りは影も形もなく優しい雰囲気でミネバを想う姿は、カミーユの知らない物だった為に。
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