教師は聖人ではなく教師というだけである

「・・・ただ取り敢えずこの事に関しては下手に私達の方から刺激するようなことがなければ何もこちらには起こらないと思うし、鬼塚君も工藤君や帝丹側から何か言われなければ何もしないだろうというように言っていたから、もうここでこの事について考えるのもそうだし何も言わないようにということにしましょう・・・藪をつついて蛇を出すなんてことにしないためにも・・・」
しかしと理事長はもうこの事は触れないようにすると漏らす。この事はもう対岸の火事としてすら見ないようにして済ませようというよう・・・



















・・・そうして時間が経って新一達は三年へと進級することになるのだが、やはりというか優作達を交えても先生達の気持ちや考えをどうにか変えさせたいといった事に対しての案は思い付かず、もう小五郎の言ったように残りの高校生活を真面目に過ごす以外にないとなった。それこそ下手に事情を説明してあぁしただけなんだから見直してくれなんて言えば、余計に反感を買う未来にしかならないだろうから一歩一歩やるしかないと。

だがそんな風にしようとしても新一の周りで事件が起きるだとかその解決の為に呼び出されるなんて事は日常茶飯事な物であって、その時には苦々しさを感じつつも余程今すぐに解決をしなければならないこと以外では学校を早退だとかはしないようにはした。これに関してはまだせめてもの悪あがきというような形でだ。

そんな風にまだ何とかマシなようにと動く新一はマスコミに対しては、取材には全部自分が応じれる時には応じるから学校なんかの取材は控えるようにしてほしいと、自分だけに取材は留めてといった要求を向けた・・・だがそんな要求ではい分かりましたとその通りにするマスコミではなく、取材したい時は平気で学校に取材をしていった。

そのマスコミの行動に酷いというように新一達は憤慨することになるのだが、小五郎が冷めた目つきでそんな簡単に済む問題なら学校側も頭を悩ませる事がなかったから先生達が苦心していたんだよというように告げると、揃って痛みを我慢するように歯を噛み締めて黙るしかなかった。自分達にはそんなことをされなかったから分からなかったんだと改めて事実を突きつけられて。

しかしそれでならメディアに顔を出さないし自分が事件を解決したと宣伝するのを止めようとしない新一の姿を見て、やっぱりもう駄目だなというように小五郎は内心で考えると共に近い将来で新一から距離を取れるように動こうとハッキリと決定させた。学校側からすれば気持ち良くない言い方だろうが帝丹大学までは通わないということから後一年足らず我慢すれば先生達は解放されるが、自分はそれから先の人生で蘭が新一と結婚するならその尻拭いや後始末を新一の為にもやってくれと言われかねないと見てだ。

そもそも今ですら新一の活動による影響を多大に受けている小五郎は、もう前のような活動の仕方なんて到底出来ないレベルにまでなっている。一応探偵としてはまだちゃんと活動はしているようには蘭達には見せているが、新一が自分の元からいなくなってからは仕事が非常にやりにくくなったことからもう近い内には探偵業を畳もうと考えていたのだが・・・だからこそ今回の件で探偵を辞めると共に新一達の事を見捨てると決めたのだ。

これは新一達はもう先生達の事は流石に諦めるだろうがそれなら小五郎に対して同じように態度を改めないどころか、小五郎なら大丈夫だろうと高を括ってそのままで行くだろうと予想出来たからであるが・・・それが自分がまともに動けなくなるまで続くなどゴメンだということからである。故に小五郎は二人の高校の卒業に合わせる形で事務所を畳むと共に米花町からも離れるべく、密かに動いていった。

・・・知ってしまってもどうしようもないこともあるし、知らないからこそどうしようもないことも当然ある。そして新たに知る時にはまたこぼれ落ちた物と分かることに愕然とするだろう。だがもうどうしようもないのだ・・・結局は自分達の行動が人から見ればどうなのかと思い改める事が出来ずにいるなら、人が離れるのは当然の事の為に・・・









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