教師は聖人ではなく教師というだけである

「・・・まぁ今は俺が教師って立場にいて帝丹高校にいたからあの事についちゃ知る事になりましたけど、高校の頃の俺がその事を知ったら間違いなく何でテメェだけんなことになんだよってブチギレてたと思いますよ。俺らとテメェは同じように学校に来なかったってのに、何が違うんだってな」
「成程・・・じゃあ今は?」
「・・・まぁ正直卑怯じゃね―かって気持ちは全く無いわけじゃないんすけど、それでも完全に復学するまでに工藤と何回か話したことがあるから感じたんです。あいつは何か人に言えねぇような深い事情ってのがあるから、学校に来ないっつ―か来れねぇんじゃねーかって事に・・・そしてそれはあいつが自分は探偵だっていつも言ってたのもあって、なんかとんでもねー事件だとか追ってたんだろうってのも」
「・・・そんな背景があると感じたから、貴方は工藤君の事はそんなに悪い気持ちは持ってないってことなのね?」
「まぁそんな感じっすね」
そうして昔と今の自分だったらの比較をした上で話をしていった鬼塚に理事長が確認を向けると、そうだと微笑みながら頷く。






・・・鬼塚も話には聞いてはいたが、実際に事件が起きてその謎を解明していくその姿や少し顔を合わせて話してみた感じで、新一にはそれだけの能力があることもだが単純に休みたいだとかサボる為に学校に来てない訳じゃないというように感じた。何か工藤には理由があった上でその能力を持って解決に動こうとしているのだろうと。

ただその後すぐにまた新一がいなくなってしまって腰を据えて話をする機会もなく、新一が抱えていた問題を解決して帝丹高校に戻って来る事になった時に新一の留年についての話がされたのだが、周りが明らかに不満そうな様子になっていた上で鬼塚に愚痴ってくる様子に相当溜め込んでるんだなと思うと同時に、口止めを帝丹の理事側からされてることもあって自分だけで判断するのはどうかと思って理事長に電話したが・・・その中身を聞いた理事長は即座に鬼塚に変に周りに言わないようにしてくれというよう迷わず返した。鬼塚の性格上変に焚き付けるような事を言えば妙な形で張り切りかねないということもそうだが、もし新一関連の事が出るだけで自分達だけでなく他の教師達も危険になりかねないから黙らないとまずいというようにだ。

それで鬼塚も理事長の言葉に納得といったようになりこの事は他言無用というようにするとしたのだが、今となって見れば理事長からしたら鬼塚らしくないというような気持ちもあったが・・・鬼塚からの答えを聞いてらしいと思って納得したのである。新一にも相当な事情があったのだろうからと鬼塚なりに考え、それを受け入れる事にしたのだと。ただ・・・






「・・・ならいいわ。じゃあもう後はゆっくり休みなさい。新年度までもうそんなに時間もないんだし、聞きたいことも聞けたからね」
「分かりました。じゃあ失礼します」
それで理事長もまた微笑み返しながら退出していいと告げ、鬼塚は頭を下げてから理事長室を後にしていく。






・・・そうして鬼塚が退出し、一人になった理事長はそっと頭に手を当てる。









.
18/22ページ
スキ