教師は聖人ではなく教師というだけである

それで鬼塚に帝丹高校に赴任してほしいと理事長は頼み、鬼塚は快く了解して帝丹高校に赴任することになるのだが・・・鬼塚自身が言ったよう電話やマスコミへの対応に関しては今でもまともに敬語だとかへりくだった態度を取る事や秘密を守ることに不慣れだったことから、それはしなくてもいいというように省かれた。むしろ鬼塚では下手をすれば余計に事態がこんがらがる事になりえるからと。

だがそういったような扱いは取られたものの、他の先生達もそうだが生徒達も鬼塚の事を好意的に思うようになっていった。これは教師としてはあまりにも型破りな行動を取ることもそうだが、表裏のないあけすけな性格に皆が心地良いと感じていったのと共に・・・放っておけば事件に発展しかねないような生徒間のいざこざを解決していくことも少なくなかったからである。

この辺りは新一とは少し違う形でトラブルと出会うことが多かった上で吉祥学園でもそういった問題のある生徒達と向き合う事が多かったことから、最早鬼塚としては多少のトラブル程度は解決出来るならやってやろうというように動く癖がついていたからだった。特に教師となってからは尚更だ。

だから帝丹高校で動く中でそういったトラブルを解決していき、生徒達からの好感度はかなり高くなっていくと共に・・・新一達や鬼塚は知る由もないが、鬼塚が赴任しない世界線での帝丹高校内で起きた事件を未然に防ぐ事もしていたのである。下手をすれば生徒が生徒を殺していたかもしれない事件をだ。

そしてそんな姿勢に生徒達だけでなく先生達も最初こそは先生らしくない鬼塚に対して距離を取るようにしていたが、すぐに打ち解けていった。先生らしくないあけっぴろげな態度が心地良いというよう、度々食事や飲みに誘われる形でだ・・・そしてその飲みの席で学校の上層部の面々に対しての不平不満やらについて口を滑らせる事になっていき、理事長からある程度帝丹高校についての問題点は聞いてはいたがこれかと理解することになったのである。

ただその問題に関しては新一が中心となっての物であると共に、新一が起こした問題ではなくその周りで引き寄せられるように問題が起こることにあるため、鬼塚もこれに関しては解決することなんて出来るはずもなかった・・・実際学園祭の時の事件では端からその様子を見ていたものの、元々から論理的に頭を使う事が苦手な鬼塚は終始ちんぷんかんぷんだったのもあって、これは俺には出来ないと見てだ。ただ・・・






「貴方ならそういうように言うとは思っていたけれど、そんな貴方から見て工藤君についてはどう思ったのかしら?・・・一応工藤君の留年が取り消された事については貴方から聞いたから何か相当な事があったとは理解出来たし、私も他の人には話さないようにとはしたけれど・・・貴方から工藤君についてどう感じたのかを聞いていないから、どうなのかを聞きたいわ」
「あ〜、工藤の事っすか・・・」
それで理事長は話題を新一の事についてどう思ったのかというように話題を移すと、鬼塚は少し考え込むように視線を上に向ける。









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