教師は聖人ではなく教師というだけである

「・・・どうでしたか、帝丹高校は?度々連絡は受けてはいましたけれど、実際に行ってみて」
「まぁやっぱ聞いてはいましたけど、すげぇ事件の多いところだってのが正直な感想っすね。実際先生達もまたかみたいな感じだったのもまたって感じでしたよ」
「そうですか・・・話には聞いていたけど、やはり前のこことは違う意味で厄介な所だったようね。でもそんな所でも普通に一年過ごせた貴方も流石ね」
「はは・・・つっても俺はあんま何もしてないんすけどね。電話やマスコミの対応とかは鬼塚先生は出来ないのは分かりましたから、生徒達の事をよく見て接してくれる方に回ってくれればいいって言われてそうしてたんで」
「それでも生徒達の間での問題とかわだかまりみたいな物をいくつも解決してくれた事について、鬼塚先生をうちに紹介してくれてありがとうございましたってお礼の電話を何回かされたことを考えると、十二分に貴方がやったことは立派な事よ。学校内でも時折事件が起きる事についてその数を減らすような事をしたのはね」
「俺は単にあいつらのいざこざに首を突っ込んだだけっすよ」
・・・理事長室にて、鬼塚は机に備え付けられていた椅子に座る理事長と穏やかな笑みを浮かべながら会話をしていく。いかに帝丹高校が厄介な所だったのかと理事長が話の中でも含ませていくのに、鬼塚は大した事ではないというよう。






・・・前の吉祥学園は表向きには事件沙汰になってはいないが、その裏では結構な問題が蔓延る学校だった。生徒が先生を追い詰め、それで先生が精神を病んでいき何人も自主退職を申し出てくるくらいのだ。それに先生側も先生側で何らかの問題を抱えていて、その問題が表面化しそうになった時もいくつもあった。

だが鬼塚の赴任によりそれらの問題は解決していき平和な学校へと変わっていったのだが、そんな中で理事長の元に一つの電話がかかってきたのである。それは帝丹高校からの物であって、要約すればウチに先生を一人紹介してくれないかという物だった・・・主に新一関連の事で疲れた先生が今年度で退職するから、誰かウチに来てくれる先生を紹介してくれと。

この辺りで一般には聞かせないようにと配慮されている形で教職者の間だけでのネットワークがあるのだが、そのネットワークの中でもハッキリ言ってしまえば・・・帝丹高校は吉祥学園と違い目に見えた形での面倒事が満載の学校という認識があった。それが何故かと言えば新一の周りで起きる事件の数々による苦労にあり、実際に先生が辞めたいと言い出したのがその証拠である。

やはり教職に立つ身としてそれ以外の事に煩わしい出来事に振り回されることもだが、そんな苦労についてをこの学校はそんなものなんだから受け入れろ・・・というように言われてアッサリ受け入れられる物ではなかったが故であった。現場の先生達はともかく上の立場にいる理事を始めとした新一近くに関わることのない面々が見せる自分達に面倒がなければいいし、そんなものは先生達に押し付けるという姿勢もあってだ。

だから帝丹大学の゙附属の学校は新一が目立つような事が増えてからは教職者の間では赴任したくない学校として名が挙がることになるが、それでも先生も次の赴任先が無かったりだとか来てくれとの要望が来たら行くことになる場合は多いが・・・それで駄目だったからこその先生を紹介してほしいとの要望であり、そこから理事長は色々考えた上で鬼塚に帝丹高校に赴任してほしいと頼んだのだ。今となっては吉祥学園は鬼塚のおかげで明るく活気のある学園になったし、鬼塚が将来的に自分の手から離れた後の事を考慮して他の学校に赴任する時の為のいい経験とさせるため、一年という期間限定で帝丹高校に赴任させてみようと。









.
16/22ページ
スキ