教師は聖人ではなく教師というだけである

これは不自然に会話をいきなり飛ばさない為にというのもあるが、好奇心もあったが故に小五郎は鬼塚にその時にそんなこと言われるくらいなら学校なんざ辞めてやると言わなかったのか・・・というように聞いた。当時の感じからそういったように言いそうな空気は感じれたと。

その問い掛けに鬼塚はムカついた事は確かだけれど学校にまともに来てなかったし授業を受けなかったのも間違っちゃいなかったし、ここで辞めてやるみたいに言っちまえば負けた気がすると思った上で仲間達もいたから留年を受け入れる事にしたんすよ・・・というように笑いながら答えた。結局高校は後で辞めることになったんすけどねと、単なる不良学生と言うにはデカすぎるエピソードを付けて笑い話しのように言う形でだ。

そんな鬼塚にその時はある意味すごいというような考えを抱いた小五郎だが、そんな鬼塚とは対照的に留年を嫌がって周りの力を使ってまで留年回避をする事を選んだ新一の選択を思い出し・・・仮に留年は絶対だと学校側が意志の強さを見せていたら、新一が留年をしてでも卒業の為に学校に通うという選択など絶対に無いだろうなと感じたのである。新一の性格的に絶対に留年してカッコ悪い姿を晒してまで学校に行き続けるくらいなら、もういっそ学校なんて辞めて探偵として旗揚げしてやるというように言うだろうと。

だがいくら理由があったからとは言え、その理由を盾に本来こうであるべきという物を捻じ曲げて行動した・・・そしてそれを当然のモノとする姿勢は鬼塚との性格やら考え方に経緯が違うということを踏まえても、あまりにも都合が良すぎる上にそれが許されて然るべきと当然のように考える姿に人として、あまりにも良くないと感じてしまったのだ。鬼塚のように自分のやったこと受け入れるでもない事もだが、端から見たら自分がどう見えるかなんて事を考えないどころかいいようにしか見られないだろうと思い込み、決め付けるということについてを。

だから新一についての心象はより下がる事になった上で鬼塚に対しては飲む前より格段に上がることになったのだが、もう帝丹高校から離れてしまう上に仮に戻ってきても蘭に新一の二人が卒業してしまえばまた生徒の親と教師という関係で会うこともない・・・その事に残念さを感じてもいた。もう今となっては鬼塚にこちらに残ってもらい、優作達も含めた工藤家に代わりに向こうに行ってもらいたいと思うくらいにだ。






「・・・まぁもうそんなこと言っても仕方無い事だ。やっぱ今更無しなんてのは安室達や学校側もなんだそれってなるだろうし、新一達も色々考えはしても取った処置を取り消しにしたら留年確定って考えるとそんなことする訳にはいかねぇってなるだろうから、先生達にどうにか話をしたいなんて事も俺から色々言われたからそうそう簡単には選ぶことはないだろうからな・・・後はもう新一や優作さん達に巻き込まれないよう俺は距離を取っていくか。将来的に蘭ともそうなるだろうことは間違いなくなるだろうがな・・・」
ただもうこれ以上はいいというように考えを収めようと決める。これ以降の結末はもう決まったものだろうというように考えることもそうだが、蘭とももう将来的に工藤家共々距離を取る事についてを確信しているというよう・・・


















・・・もう小五郎は工藤家や蘭に対して親愛を始めとした情を抱いていない。そういったように一人で漏らす中で場は変わり、吉祥学園の理事長室になる。









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