教師は聖人ではなく教師というだけである

・・・鬼塚の身の上話を聞いたのはどういうことかという話になるが、これは本題を聞く前の世間話として怪しまれないように先生はどうして先生になったんですかというように聞いたことからだ。その明らかに真面目とは言えない容姿と言葉遣いを受けたのもあり、普通に先生なんて職業に就こうと思えるような人物じゃないだろいと思ったのもあり。

だがそこから鬼塚が話していった想像以上の話の中身に、小五郎はこれが本当の物なのかと思わざるを得なかった・・・そもそも自分が大学に入ったのは高校を中退したからその代わりとして学歴もだが遊ぶ時間を手に入れる為であって、それも替え玉受験で入学したという物であり先生にも初めからなろうと思ってなろうと考えていた訳ではなく、教育実習生として大学卒業の為に行った学校での経験からその時にようやく教師になろうと決めた・・・というあまりにも破天荒過ぎる話に。

正直こんな話を聞いてこんな人物が教師という職業に就いていいのかと思わざるを得なかった小五郎だが、それと共に教育実習生の時のもだが前にいた吉祥学園の時のエピソード話を聞いたことで問題としか傍目には見えない行動ではあっても、そういった鬼塚のやり方でなければ解決しない問題が多数を占めていただろうことに、鬼塚が教師になったことは少なくともそんな生徒や先生達に親に家族といった、鬼塚に関係した問題のある者達にとっては必要だったのだと感じたのだ。

まぁそこについてはともかくとしてそんな鬼塚との飲みを終えた後で小五郎は一人になってから、鬼塚の話のある部分についてを思い返した上で新一と比較して考えてみたのである・・・それが鬼塚が留年したことがあるという点だ。

その話については鬼塚は当時を思い返すようにしながら話したのだが、高校は一年から二年に上がると春休みが終わった登校の時には当然のように思っていたが、いざ学校に来てみれば掲示板に仲間と共に留年の達しが貼られていて、その事についてを校長に抗議しに行ったがそこで返されたのはお前達みたいなクズを退学にしないだけありがたく思え・・・というよう激しく罵倒されての追い返しの言葉だったとの事だった。

そういった当時の校長の気持ちと鬼塚の話についてに、どちらかと言えば校長の方の気持ちが分かるというように小五郎は軍配を上げた。その当時の鬼塚としては学校でつまらない授業を受けてるより断然に仲間達とサボった上で行動する方が有意義だと感じたということだが・・・それは傍目から見たら喧嘩もそうだが器物損壊に警察沙汰というような問題行動のオンパレードであり、その行動によるしわ寄せとして学校の管理責任を問われる先生達としてはたまった物ではない事が想像出来たからだ。

この辺りは昔から一貫して不良といった物に憧れることも無く精々仲間内でバレても注意くらいで済むようなやんちゃ程度くらいしかしてこなかった小五郎の性格があってだが、それでも鬼塚に関してをそこで見損なわなかったのは新一と違うある部分についてを考えたからであった。それは・・・






「あいつじゃどうしたって留年が回避出来ね―って風に学校から突っぱねられてたら、もう学校なんざ辞めてやるって言うのは目に見えてる。最初はともかく後になったら留年なんかみっともねーし、年下の同級生と肩を並べて学校生活を送るのを我慢するなんて出来るわけねーって言い出してな」
そうして小五郎は確信した言葉を漏らす。絶対に新一が留年になったら我慢出来る筈無いと。






・・・そう。留年という問題について鬼塚は我慢することを選んだが、新一ではそんなこと出来ないだろうということからだ。









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