教師は聖人ではなく教師というだけである

・・・その時はまだ先生達が新一を嫌う理由についてがハッキリ分からなかった事や新一の為に動きたく無かったから深く考えないようにはしたが、本当に新一が先生達に嫌われてるというなら小五郎にとってそれはもう愉快な事であった。自分達に対してあれだけの事をしてくれたのに罪悪感なんか一切持たずに接してくるその態度にイラつきはあったが、先生達に嫌われてるというのなら自分のそのイラつきを間接的に解消してくれているのではないかというような物な事だった為に。

しかしそれを表に出したら絶対に面倒になるから新一を帰した後で一人になって愉快だと口元を笑みで歪めたのだが、そうしてしばらくの時間が経って優作達まで引っ張り出してきたことや蘭まで加勢してきたことに、内心は断りたかったが面倒になるよりはと受けることにしたのだ・・・考え方を変えて何故新一がそこまで先生達に嫌われてるのかについて知り、その理由次第じゃ新一だけでなく優作達もダメージを食らう事になる可能性もあると考えてだ。

そうして小五郎は鬼塚にコンタクトを取って、飲みに行く約束を取り付けた・・・本来先生と一生徒の親がそんな簡単に連絡を取り合えるのかという疑問が出るかもしれないが、これに関しては新一が今回の為にと鬼塚に何かあったら連絡したいから電話番号を教えてほしいというように言って快く教えてもらい、その番号を渡された上で小五郎は鬼塚に連絡を取ったのである。鬼塚の事を聞いて娘が世話になったのもあるから飲みに行きたいから、電話番号を知ってる新一に教えてもらったというようにだ。

そして鬼塚はそういった事が裏で起きていてそんな狙いがあるなど知らずに小五郎と共に居酒屋で飲むことになり、グイグイと酒を勧める小五郎に乗せられる形で新一の事をベラベラと話していったのである・・・表向きには蘭と新一が付き合う可能性があるが、実際の新一の学校内の評判はどうなのかを秘密にするから言ってほしいと、もう酔っ払い出してるといった空気を滲ませていた小五郎にまんまと騙されて酔いの勢いのままに口にしていく形でだ。

・・・この事に勿論話の中身に唖然としたが、鬼塚のあまりの口の軽さの方にも結構そういった気持ちはあった。教師にしてはあまりにも軽薄な様子なのは見ただけで分かったし、新一もそれを狙った上での結果通りな事だったから結果だけ見るなら成功ではある。しかし予想されていたとは言え本来なら口外無用の筈の事を乗せられたからベラベラ喋るなんて、教師やいい大人としてとても有り得ていい物ではないというよう。

しかし何故鬼塚がそんな風なのかについては話を聞いていく内に理解出来た上で、何故生徒もだが先生達の間でも評判がいいのかは分かることになるが・・・そこについては一先ず置いておくとして、話を聞いていって小五郎も先生達が抱く気持ちや考えが正しいというように率直に感じた。むしろそういう風にならない方が不思議なくらいだと。

だから小五郎としてはそれらを言える程度に話していくのだが、案の定というか信じたくないしそういった物をどうにか覆して見直されたいといった気持ちを見せてはいたが、事前に話を聞いていたこともあるからその中身を元にいかに現実的に難しいかを突き付けていったのが先の話であり・・・それで最早単純にどうにか出来ないと認識する四人の姿に今までの溜飲が一気に下がるのを自覚した上で、新一がいかに鬼塚と違い都合のいい事ばかりに出来る状況にいてその心根が甘いのかをその姿から感じたのである。鬼塚の身の上話を聞いたのもあって尚更だ。









.
13/22ページ
スキ