教師は聖人ではなく教師というだけである

「だからこれ以上嫌われたくないってんなら心を入れ替えたって事をちゃんと示すように授業やテストをちゃんと受けるようにするくらいは最低限だろうが、そもそもからして進級の時に明らかにやっちゃなんねーことをやって進級したってこともそうだし、それこそこういう訳があったからなんて言っちゃなんねーって言われてんだから、新一からしていくら真面目にやっても報われねー結果になったって不満も何も言えねーって事も全然有り得ると思うぞ」
「そ・・・そんな・・・」
「新一を許してもらいたいってお前が思うこと自体はお前の自由だから、それを止めろとは言わねぇよ。けど許す側の立場にいるのは先生達であって、お前が許してほしいだとか許せみたいに小さくなってた時の事やその理由を切り出しても、そうされたら却って先生達が気持ち良くねぇってなる可能性だって有り得るだろうな。もし仮に安室達がそれを言う事を認めたとしても先生達はその理由を口にすることは認められねぇ上、そこまで聞かされた以上は安室達の事もあるから表向きは新一の事を許すみたいな風にはしてはくれるだろうが・・・まず確実に一見許したと見せたその顔の裏じゃ尚更に新一もそうだが、蘭ももう許せるような存在じゃねぇってなるだろうよ。絶対にお前らにはそうだって風には見せねぇし本当の事を言って欲しいって言っても、そんなことは絶対に表向きには明かさないって形でな」
「っ!!」
だからそういった事もだが確実に許される保証はないだろう・・・というように言う小五郎に蘭は愕然としたように漏らすが、そこで目を開いて蘭が取りかねない行動についてもだが、そうしたなら本当の意味で先生達は蘭すらも絶対に許さなくなる・・・そうまっすぐに告げると蘭はたまらずに顔を青くして、息を詰まらせるしかなかった。今小五郎から話を聞かずにいたなら安室達の許可を得て無理矢理にでも新一の事を許させるようにしたことで納得していただろうが、そうしたなら心底では絶対に先生達が蘭共々許すことなど無くなるという重すぎる推測を前にして。
「・・・まぁ今言ったが帝丹大学に行くかどうかは分からねーが、行かねーって言うんなら後一年近く程度をその視線やら何やらに耐えてしまえば後は卒業してオサラバって事で、今まで通りにするのも一つじゃあるだろうな。変にいきなり真面目になられても先生達からしたらどういうことだってなるだろうし、小さくなってた時の事は流石に例外にしても・・・新一。お前今すぐ事件を解決してほしいって学校にいる時に頼まれたら先生達の視線が気になるからって言って、警部殿とかの頼みを断れるか?」
「そっ、それは・・・その・・・」
そんな蘭から今度は新一に視線を向けてもしもの未来と起こり得る選択肢についてを投げ掛けると、答えづらそうに視線をさ迷わせる姿にそっと小五郎は首を横に振った。
「・・・もうこれまでだ。そうなった時に新一の性格的に事件が起こりゃそれを放っておきたくねぇってなるのは目に見えてるが、そうすりゃ先生達の気持ちがまた離れていくのも目に見えてる。つまり俺から見たらそういった時にどっちかは捨てる為の選択をしなきゃならないことになるが、俺はどっちにしろなんて勧めたり強制するつもりなんてない。だから後は新一自身でもだが優作さん達もどうするか考えてくれ・・・もう頼まれた事については話し終えたから、俺は帰らせてもらいますんでね」
「「「「っ・・・」」」」
そしてもう後は帰るからそっちで頼むというように言って頭を下げて場を後にしていく小五郎に、工藤家の三人もそうだが蘭までもがただただ辛そうに顔を歪めて止まるしかなかった。もう小五郎を留めても何にもならない以上に、どちらも取りたいけれどそうするにはどうすればいいのかという難問極まりない問題を残されてしまったことに・・・


















・・・そうして小五郎は住処に戻ることになるのだが、蘭が後を急いで追いかけて来る事が無かったことから一人でという形で住処に入った。









.
11/22ページ
スキ