教師は聖人ではなく教師というだけである

「まぁその辺りは先生達からすりゃ警部殿から頼まれたのもあってってのもあるが、そもそもを言えば新一が姿を現してしまうような事をしなけりゃ何にもならねーで済んだ事なんだよ。事件の解決をする方が重要だったってのが言い分なんだろうが、ちょいと時間はかかっても蘭だとか服部を経由して事件の真相を話して新一は顔を見せずに済ませるってことは出来ただろうから、そうしときゃ変に新一の事について他の人達に口止めなんかしなくても良くなった上で、先生達も余計な苦労をしなくて済んだんだからな」
「うっ・・・」
更にそこでそもそもが新一の行動についてが良くなかったと言い切る小五郎に、新一はたまらず言葉を詰まらせるしかなかった。言っている事は今までの流れもあるが間違っていない事だった為に。






・・・話に出ているが学園祭に新一はその時は自分が小さくなった体の事実が蘭にバレかけたことから、この場にいない灰原が作った元の体に戻る為の薬の試験作を飲むかと言われ、まだ事実を明かしたくないということから新一はその薬を飲んで自分は小さくなった新一なんじゃないというように動くことにした。

だがそれはあくまでも蘭にだけ接触してそういった事を印象付けるのが元々の目的だったのだが、その時に事件が起きたこともだが時間が経っても解決するような状況にならずに停滞していたことに、新一は事件の真相に辿り着いたこともあって被っていた仮面のような帽子を取り外して推理をしていったのである・・・その時は新一が生きている事は絶対に表沙汰にしてはいけないという状態だと新一自身もだが、事実を知っている者達の中でも共通した認識の物であるというのにも関わらずだ。

ただそんな事件を解決するための行動と蘭への誤魔化しは結果だけを見るなら成功となったのだが、今となってはそれがどれだけ考えのない物だったのかを二つの立場から明らかにされたのである。新一が出ることを避けて動くべきだったのだということを説明され、それが否定出来ないことに。






「・・・分かっただろ。先生達がどれだけ新一にもだが、その周りの生徒や人達にもどれだけ気を使ってきて、それでそんなことを一切考えてきてなかったのかを」
「・・・それは・・・俺の考えだとか色々足りなかったのは、嫌でも分かったよ・・・事件を解決すればそれで全部丸く収まるって他の事なんか一切考えてなかったってことは・・・」
「・・・私も話を聞いて、新一はこれでいいというようにいかに私達が安穏としていたのかということを感じました・・・実際はそんな風に先生達が感じていて考えていたということを聞くと、申し訳ないというように・・・」
「・・・私もそういうように感じたわ・・・小五郎ちゃん・・・」
それで先生達の気持ちやら立場やらについて理解しただろうと投げ掛ける小五郎に、工藤家の三人は揃って意気消沈といったように視線を下げて話を受け入れる以外に出来なかった。最早ここまで言われてしまえば新一が先生達に嫌われるのも理解出来てしまうというよう。
「で、でもお父さん・・・だったらこれから新一はどうすればいいの?あの組織の事は言っちゃいけないのはどうしようもないけど、だからってこのままなんて風にしたら新一のイメージは悪いままなんだよ・・・?」
だが一人蘭だけはどうにか新一の状態の改善について出来ないのかと訴えかけると、小五郎はそっと目を閉じた。









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