曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する

・・・そしてその後英理は小五郎にその時の事を説明し、まず一年や二年では余程の事が無ければ帰ってこないだろうということで話は終わった。蘭に対しての気持ちはもう新一が好きという一念で行動するとしたことにより、完全に消えてしまったと英理が締め括った形になってだ。

そんな英理の声にだろうなと軽く息を吐いた上で携帯をしまい、小五郎は机の上のノートパソコンに向かい合う。小倉から任された仕事を完遂させるために。


















・・・そうして数ヶ月が経つのだが、小五郎はもうすっかりと小倉に任された仕事に従事することに慣れてしまって周囲にも小五郎がいることが普通だというように認識されることになった。いや、むしろあの気難しい小倉とコミュニケーションも取れる希少な存在とすら見られるくらいに、欠かせない者と今はなっていたくらいだ。

これは小五郎のコミュニケーション能力が高いこともそうだが、曇りの無くなった小五郎の能力は周りから見ても高いと言わざるを得ない事や、書面上での仕事が多いことで小五郎の目が曇るような要素がないことから、ハイクオリティで仕事をこなす事に小倉も満足しているからであった。

故に小五郎は小倉の元でその手腕を発揮していく事になるのだが、その裏で小倉がどれだけ感情から来るモノが小五郎の目を曇らせていたのかということに嘆息していたことは誰も知らなかった。そしてその大元であった優作や新一達についてがどれだけ大きかったかもだが、それを振り切った結果が今と考えればそれらは呪縛でしかなかったのだろうと・・・









END









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