曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する

・・・この辺りで小五郎は優作に憧れていた部分もあって優作の書いた本だったり他の推理小説などを読むだとか、推理のイロハを学ぼうと蘭達には見せないようにして学んできた。ただそれらに関してはその時の小五郎が自分は駄目だったということから色々と無駄にしてきたことは自覚している。

しかし新一の事実を知ってから冷静に事件が起きた現場を観察していけば、前とは比べ物にならない形で頭を働かせて事件の真相に辿り着く事が出来た。これに関しては麻酔のついていない麻酔銃で撃たれて眠ったフリをしている最中での新一の推理を聞いて、自分の推理も間違いでははなかった事は確認していた上で・・・そういったように考えることと答え合わせをする事を事件の度に行ってきた事で、小五郎の推理能力は高まっていったのである。あくまでそれらの時で自分が事件を解かなければならないと思った時以外は、それまでのように何も分からないフリをするような形でだ。

だがそうやれることを見せてしまえば今までの事は何だったんだと言われてしまうだろう上で、下手をすれば小五郎を怪しむ理由を作ることになってしまう・・・そう考えれば自己嫌悪に陥った部分はあれども結局能力を発揮する事は出来ないなと考えたのは余談である。






「・・・ま、そこはもう気にしないでこれからの事を考えていくようにするか。叔父さんの言うようこっちに残るか、向こうに戻るようにするかを今後の向こうの様子も見つつ・・・」
ただそこで一先ず考えを切り替えて、今後どうするかについてを考えようと漏らす。何か近い内に東都の方で起こりかねない可能性は有り得るだろうと・・・





















・・・そんな風に小五郎が予感染みた事を口にしていたのだが、その予感は当たっていていきなりいなくなった『江戸川コナン』についてが話題に挙がり、どこに行ったのかということが議論される事態に一月後になってしまったのである。

ただそこで小五郎はすかさず英理に電話をして前に話をしていたように発表してほしいと願い、それを英理はマスコミに自分も時々しか交流していなかったからあんな子どもだったなんて知らなかったというように発表し、結果として言うなら二人に関してはそんな批判的な事を言われはしなかった。

だがその一方でハッキリと江戸川家は工藤家の親戚というように言っていたし、交流していたとも言っていた事から非常に強い追求が向けられる事になった。その時の事に関しては阿笠を介して話を聞くことになったのだが・・・工藤家もそうだが蘭や灰原改め、元に戻った志保も苦悩する事になったとのことだった。

この辺りは工藤家は勿論ではあるが蘭が苦悩する事になったのは下手に事実を知っていると明かすのはまずいということや、先に小五郎や英理が何も知らないからこその発言をした事から蘭も何も知らないというようにしないと却って良くないと見て、蘭もそういった風に振る舞うようにと言われたのだが・・・新一を庇いたいし正しかったと言いたい蘭にとっては、かなり我慢の為に苦心せざるを得なかったのである。

それで志保の事に関しては『江戸川コナン』同様『灰原哀』も同じように消えて阿笠の元に代わりに居座るようになったことから、今はまだいいが『灰原哀』の事も追求される可能性があるんじゃないか・・・ということから、二次災害が起きることを懸念して阿笠邸を離れる事を決定させたとのことだった。下手に居残ってもろくな事にはならないだろうとしか考えられないからと。

そして工藤家に関してであるが、こちらに関しては同じように組織を追っていた機関に日本の警察組織の一部である公安がいたことから、メディアに関しては組織の事がバレてしまうことを懸念して制限をかけるようにするとは言ってくれたが・・・もう広まってしまった江戸川家の事と新一のこれからの生活を考えれば、腫れ物に触れるような扱いで誰も触らないままに済むようにしてくれるならまだしも、事実を知りたいと個人的に付き纏ってくる人物が出て来る可能性はどうしても否定出来なくなるから、新一が普通に学校に通えなくなる可能性もまた否定出来なくなるから転校か退学か、海外の優作達の元で事件に関わらず目立たず大人しく暮らすことも検討しなくては沈静化しないことも有り得る・・・そう言われて相当に苦悩することになっているという事だった。折角新一が元に戻ったというのにこんなことになるなんてと。









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