領域を踏み荒らす者に渡す報い

「ルルーシュ、俺も気持ちは分かる・・・だから今度は俺から言わせてくれ・・・!」
「あぁ、カミーユ・・・!」
だが怒りを覚えているのは一人ではないとカミーユも自分も言いたいと言い、ルルーシュは頷いて返す。
「おい新一・・・俺は阿笠さんとの話し合いにいなかったから聞くが、何故自分の両親にその事を話そうと考えなかった?話から聞くと海外にいる二人に連絡を取って自分の事を説明した訳じゃないんだろう?どうなんだ?」
「そ、それは確かに説明はしてない・・・」
「じゃあ何で説明をしなかったんだ?」
「・・・父さん達に言ったら、あいつらを捕まえることに賛成してくれないと思ったんだ・・・そればかりか俺に何もさせないようにって気を使ってくるんじゃないかって・・・それで・・・」
「だから何も自分の両親には言わず、毛利さんの元に転がり込もうと考えたって訳か・・・ふざけるな!」
「っ!?」
そんなカミーユが口にしたのは工藤夫妻に関して何故言わなかったのかとの問いで、新一は自分の気持ちを恐る恐る答えていくのだが・・・その答えにカミーユが怒りの一喝を向け、新一は体をビクリと震わせた。ルルーシュの冷静でいて理詰めな怒りと違い、カミーユの直情的な怒りに。
「お前のその言い方だと自分の親は自分の好きにさせてくれないから、毛利さんに何も言わずに自分の思うように動いてもらおうと考えていたんだろう!だがそんなことが許されていいはずがないだろうが!自分の勝手な目的の為に人を利用して何も言わないなんて事が!」
「カ、カミーユ・・・」
「それとも何だ!?毛利さんならお前の目的の為に巻き込んでもいいと思ったと言うのか!」
「ち、違う・・・俺はあくまであいつらに近付けたらいいと思っただけで、そこから先は俺一人でおっちゃんは関係無く、やろうとして・・・」
「そんなことが本当に出来ると思っているのか!?もし仮にお前をここに置いて黒ずくめの男達と敵対することになったとしたら、お前が毛利さんと繋がってるって見られたらお前だけじゃなく毛利さんにもその手が及ぶ可能性が高いんだぞ!今そんな姿になったのはそいつらの思惑通りじゃないにしても、お前がそうなったのはお前がそいつらに不注意して深入りし過ぎたからだろ!それなのにもう二度と不覚は取らないだとかそんな言葉で安心も納得も出来るはずがないし、そいつらに敵として見られることなく毛利さんを絶対に巻き込むことないなんて言えるのか!?そんな危険な薬を作れるということはそれなりの技術力もそうだが、その技術力に見合う程の組織が相手かもしれないのにだ!」
「っ・・・!」
そのまま素直な怒りに任せながらも確かな理論も持って言葉をぶつけていくカミーユに、新一は言い訳をしようとするも言葉を返せなくなって最終的に喉に詰まらせてしまった・・・失敗して今に至ると言うのに、それで今度は大丈夫などと言える保証など流石に新一でも出来なかった為に。
「・・・ここまで言われたんだ新一。もう諦めろ、ここまでで。それともまだお前は諦めるつもりはないと言うのか?その男達を追うことに毛利さんの元で情報を集めるということを」
「・・・確かに、おっちゃんに関して絶対に大丈夫だなんて保証なんて出来ねぇ・・・けど俺はそれでもあいつらを自分の手で捕まえてぇんだ!・・・お前らがおっちゃんの事を大事に想ってるってのは分かってるが、それでもここは敢えてその気持ちを曲げておっちゃんの元に俺をいさせるようにしてくれ・・・頼む・・・」
そんなカミーユから静かに話を受け継いだルルーシュは気持ちは変わらないのかと確認するが、新一は苦い顔を浮かべつつも引きたくはないと言うばかりか自分を助けてくれとばかりに頭を下げる。自分のしたいようにさせてほしいと。









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