曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する
・・・それでそうして小倉の所に来た小五郎だが、そこで久し振りに見た小五郎の顔には媒体で見たような調子に乗ったような緩んだ気持ちなど一切ない、精悍でいて油断のない引き締まった物が浮かんでいた。前のような緩みがないと。
その上で電話だけでは聞けない細かい新一が来てからの事についてを聞いていったのだが、それらを聞いて行くにつれて小倉が考えたのは小五郎が工藤家やらそこに関係する面々に対して、親愛を始めとした気持ちが無くなるのは当然だという物だった。影で人を利用して命を危険に晒し、それらを全く申し訳ないといった気持ちを欠片も見せてこない輩に対して気持ちを失ってしまわない方がおかしいと。
だがその中で逆によく新一達にその気持ちをバレずに隠し通せるだったり、本音を我慢出来た物だと小五郎に言ったのだが・・・心残り無く工藤家を見切れたが故だからと瞬時に冷めきった表情と声になったことに、続いた話もあって我慢して割り切る事にしたのだと小倉は実感したのである。見直すような出来事が起きないどころか更に気持ちを突き放すような事が起きてきたことから、敢えて何も知らない道化を演じ切る事に気持ちが傾いて固まることになり、最早新一達が周りにいる時は演技用の仮面はずっと付けたままになって取り外すなんて隙は一切なかったのだろうと。
そんな精神的に油断しないしするつもりもなかったからこその物だったと理解した上で、だからこそ小五郎は劇的に変わったのだと感じたのだが・・・改めて小倉自身哀れという言葉が零れ落ちるくらいにはそれだけ酷い物だと感じたのである。楽観的でいて人がいいのが特徴的だった小五郎が変わらざるを得なくなるくらいの状況もだが、それを強いた新一達の行動についてを。
「・・・こっちで暮らす、か。それもいいかもな。叔父さんには迷惑をかけるかもしれないが、東都辺りに戻ったら面倒になりかねないだろうからな」
・・・そんな叔父の元から今使っている部屋に戻ってきた小五郎は一人あぐらをかきつつ、先程の勧めに本当にそうしようかと考えていた。戻ってもいいことなどないだろうからと。
「・・・ま、あいつらからしたら俺が探偵辞めるなんてのは新一もそうだが、蘭からしても俺の能力を分かってるから妥当とでも思うのかもしれねーが・・・だったらテメーらのいねーところで俺が何をやってたのか言えるかって話だが、見せてねーから言えるわけねーんだがな」
そんな中でふと小五郎は新一や蘭が自分が探偵としてやってきた事に気付けないだろうと漏らす。
・・・新一もそうだが今となっては蘭も新一が事件を解決してきたことから小五郎が名探偵であるというようには一切思っていないのだが、なら新一が関わっていない時には探偵として仕事を一切していないのかと言ったら、そんなことはなかった。むしろ名探偵という名前を背負わされた小五郎の元には新一の来る前と違って依頼の数は明らかに増えることになった上で、大抵の依頼は新一や蘭が学校に行っている平日の昼間に来ていたのだ。
だから平日の昼間で依頼が来て別日の昼間だったり夜に出掛けたりとで依頼を完遂させるなんてことはよくやってきたのだが、その時には新一が付いてこないことからなのか事件が起きない事により、特に変わったこともなく依頼を果たす事が出来たのであって名探偵の評判を落とす事なくいられたのである。
だが新一や蘭といった周りの面々は新一と一緒にいた際の依頼しか小五郎には依頼が来ていないと思っているのだが、それを一々小五郎は今日こうこうこういった依頼があったとか全てを言っていないだけなのだ・・・新一の事実を知ってから自分から話題を広げるような話など内心でしたくないと思っていたのもあるし、探偵として依頼をされた仕事に関して依頼人の都合があることから迂闊に依頼人やらその周りの事情を明かさないようにするためにだ。
その辺りを新一は事件ばかりが発生してマスコミの゙前で堂々と事件の中身を明かしていったが、本来そういった物だというのを考えていないからこそ、そんな風に小五郎の仕事は自分の関係している時にしか来ていないと考えるというより決め付けていたのである。おっちゃんが自分がいない時に仕事をしているならうまく行っている筈などないんだから、自分の知らない時じゃ仕事なんて来ていないんだと。
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その上で電話だけでは聞けない細かい新一が来てからの事についてを聞いていったのだが、それらを聞いて行くにつれて小倉が考えたのは小五郎が工藤家やらそこに関係する面々に対して、親愛を始めとした気持ちが無くなるのは当然だという物だった。影で人を利用して命を危険に晒し、それらを全く申し訳ないといった気持ちを欠片も見せてこない輩に対して気持ちを失ってしまわない方がおかしいと。
だがその中で逆によく新一達にその気持ちをバレずに隠し通せるだったり、本音を我慢出来た物だと小五郎に言ったのだが・・・心残り無く工藤家を見切れたが故だからと瞬時に冷めきった表情と声になったことに、続いた話もあって我慢して割り切る事にしたのだと小倉は実感したのである。見直すような出来事が起きないどころか更に気持ちを突き放すような事が起きてきたことから、敢えて何も知らない道化を演じ切る事に気持ちが傾いて固まることになり、最早新一達が周りにいる時は演技用の仮面はずっと付けたままになって取り外すなんて隙は一切なかったのだろうと。
そんな精神的に油断しないしするつもりもなかったからこその物だったと理解した上で、だからこそ小五郎は劇的に変わったのだと感じたのだが・・・改めて小倉自身哀れという言葉が零れ落ちるくらいにはそれだけ酷い物だと感じたのである。楽観的でいて人がいいのが特徴的だった小五郎が変わらざるを得なくなるくらいの状況もだが、それを強いた新一達の行動についてを。
「・・・こっちで暮らす、か。それもいいかもな。叔父さんには迷惑をかけるかもしれないが、東都辺りに戻ったら面倒になりかねないだろうからな」
・・・そんな叔父の元から今使っている部屋に戻ってきた小五郎は一人あぐらをかきつつ、先程の勧めに本当にそうしようかと考えていた。戻ってもいいことなどないだろうからと。
「・・・ま、あいつらからしたら俺が探偵辞めるなんてのは新一もそうだが、蘭からしても俺の能力を分かってるから妥当とでも思うのかもしれねーが・・・だったらテメーらのいねーところで俺が何をやってたのか言えるかって話だが、見せてねーから言えるわけねーんだがな」
そんな中でふと小五郎は新一や蘭が自分が探偵としてやってきた事に気付けないだろうと漏らす。
・・・新一もそうだが今となっては蘭も新一が事件を解決してきたことから小五郎が名探偵であるというようには一切思っていないのだが、なら新一が関わっていない時には探偵として仕事を一切していないのかと言ったら、そんなことはなかった。むしろ名探偵という名前を背負わされた小五郎の元には新一の来る前と違って依頼の数は明らかに増えることになった上で、大抵の依頼は新一や蘭が学校に行っている平日の昼間に来ていたのだ。
だから平日の昼間で依頼が来て別日の昼間だったり夜に出掛けたりとで依頼を完遂させるなんてことはよくやってきたのだが、その時には新一が付いてこないことからなのか事件が起きない事により、特に変わったこともなく依頼を果たす事が出来たのであって名探偵の評判を落とす事なくいられたのである。
だが新一や蘭といった周りの面々は新一と一緒にいた際の依頼しか小五郎には依頼が来ていないと思っているのだが、それを一々小五郎は今日こうこうこういった依頼があったとか全てを言っていないだけなのだ・・・新一の事実を知ってから自分から話題を広げるような話など内心でしたくないと思っていたのもあるし、探偵として依頼をされた仕事に関して依頼人の都合があることから迂闊に依頼人やらその周りの事情を明かさないようにするためにだ。
その辺りを新一は事件ばかりが発生してマスコミの゙前で堂々と事件の中身を明かしていったが、本来そういった物だというのを考えていないからこそ、そんな風に小五郎の仕事は自分の関係している時にしか来ていないと考えるというより決め付けていたのである。おっちゃんが自分がいない時に仕事をしているならうまく行っている筈などないんだから、自分の知らない時じゃ仕事なんて来ていないんだと。
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