曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する
「ですから俺はいつまでもこちらの世話になるようなことはしませんが、東都に戻るとしてももう米花町・・・特に工藤家に関わる可能性の高い場所に行くつもりはありません。そして出来る限りひっそりと暮らしていきます。将来的に蘭が新一と結婚するなどして親戚として距離が縮まっても、精神的な事から俺は近くにはいれないというように言ってあいつらを遠ざける形で」
「我の仕事を手伝うならこの屋敷の部屋を使っても構わぬぞ。そうするなら家賃も取らずに住ませてやる」
「そこに関しては流石に・・・と言いたいんですが、やはり少し考えさせてください。今から再就職を考えるとなると普通の゙仕事をするには俺は顔や名前が売れ過ぎましたから、もう少し休んでからどうするかを決めたいと思います」
「そうか。ならしばしゆるりとするがいい」
そうしてもう工藤家に関わるつもりは断固としてないと言い切った上で今後の事についてを叔父と話す小五郎だが、淡々として温度を感じさせない声色なのにその中身が小五郎の事を許容する物だった事にホッとしたような空気を浮かばせていた。決して叔父が自分にとっての不都合やらを押し付けてこないと分かっているからこそというよう・・・
・・・そうして小五郎は話は終わりましたので失礼しますと、自分のあてがわれている部屋へと戻っていった。
「・・・哀れな物よ。初めから余計な考え方などせず、冷静になっていれば話に聞いたような事になどならなかっただろうに」
それで一人になった部屋の中、叔父はポツリと漏らす。呆れたようでいながらもハッキリと勿体ないといったような言葉を。
「だが小五郎があぁなるにはあれくらいのことがなければならなかったのだろう。単なる言葉程度ではどうにもならない何かがな」
しかしすぐにまたきっかけが重要だったのだろうと考え直す。小五郎があぁなるにはそれなりのきっかけだったのだと。
・・・小五郎の叔父として度々小五郎と会ってきていた小倉は、小五郎の才覚というものを感じ取っていた。凡百の人間には備わらないだろう才覚を小五郎は持っていることについてを。
だが同時に小五郎がその性格故にその才覚を無駄にしている部分が大きい事もまた感じ取っていた。冷静に頭を働かせれば小五郎なら解決出来る筈の事にあたる際、頭を働かせるより感情から事に向き合う癖があったことからだ。これは難しいパズルを何気無しに解いた後で親にもう一度解けたらオヤツをあげると言われた途端、やる気が空回って何でとなった場面を見たりそういったことがあったと聞いたのだ。
これに関しては小五郎の親達に話をしたが、その辺りは小五郎の好きなようにさせてやりたいからというように言われて結局はその点は伸ばされることはなく・・・小倉からすればそれは勿体無いというように思えた。隠された能力自体はあるがそれを発揮出来ないのは宝の持ち腐れではないかと。
だがあくまで小倉は叔父という立場であって、直に小五郎を育てる立場にはない・・・故に強く物を言うという事は止めておこうと思って時間が過ぎていったのだが、そうしている時に小五郎が名探偵と持て囃されて取り上げられる媒体やらを見て、小五郎の能力が開花したというように考えた・・・なんてわけはなかった。何故ならその媒体に映っていた小五郎の顔が明らかに冷静さの欠片も何も無い、調子に乗った馬鹿笑いの顔だったからだ。
だからその時点で小五郎に何かがあったからこんなことになったんだろうとわざわざ電話して確かめてみたのだが、そこで動揺しつつも明らかに声色が覚悟が決まっているといった以前と違う小五郎の様子に、事情があるのを確信した上で何かあるなら言えというように言っていったのである。小五郎がそこまでになる何かが起きたことに関しての興味が大きく、何か厄介な事があるからというのは想像は出来たがある程度なら自分でどうにか出来ると、自分の持つ力があるからだ。
だからそうして一旦その電話は終わるのだが、また電話が来た時に事実を聞いて小五郎を受け入れることにしたのである。想像を超えるというよりは想像もしていない角度からの理由だったが、自分も知らんフリをすれば穏便に済ませられる程度に出来る範囲だったことからそれくらいならやってやろうと思ってだ。
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「我の仕事を手伝うならこの屋敷の部屋を使っても構わぬぞ。そうするなら家賃も取らずに住ませてやる」
「そこに関しては流石に・・・と言いたいんですが、やはり少し考えさせてください。今から再就職を考えるとなると普通の゙仕事をするには俺は顔や名前が売れ過ぎましたから、もう少し休んでからどうするかを決めたいと思います」
「そうか。ならしばしゆるりとするがいい」
そうしてもう工藤家に関わるつもりは断固としてないと言い切った上で今後の事についてを叔父と話す小五郎だが、淡々として温度を感じさせない声色なのにその中身が小五郎の事を許容する物だった事にホッとしたような空気を浮かばせていた。決して叔父が自分にとっての不都合やらを押し付けてこないと分かっているからこそというよう・・・
・・・そうして小五郎は話は終わりましたので失礼しますと、自分のあてがわれている部屋へと戻っていった。
「・・・哀れな物よ。初めから余計な考え方などせず、冷静になっていれば話に聞いたような事になどならなかっただろうに」
それで一人になった部屋の中、叔父はポツリと漏らす。呆れたようでいながらもハッキリと勿体ないといったような言葉を。
「だが小五郎があぁなるにはあれくらいのことがなければならなかったのだろう。単なる言葉程度ではどうにもならない何かがな」
しかしすぐにまたきっかけが重要だったのだろうと考え直す。小五郎があぁなるにはそれなりのきっかけだったのだと。
・・・小五郎の叔父として度々小五郎と会ってきていた小倉は、小五郎の才覚というものを感じ取っていた。凡百の人間には備わらないだろう才覚を小五郎は持っていることについてを。
だが同時に小五郎がその性格故にその才覚を無駄にしている部分が大きい事もまた感じ取っていた。冷静に頭を働かせれば小五郎なら解決出来る筈の事にあたる際、頭を働かせるより感情から事に向き合う癖があったことからだ。これは難しいパズルを何気無しに解いた後で親にもう一度解けたらオヤツをあげると言われた途端、やる気が空回って何でとなった場面を見たりそういったことがあったと聞いたのだ。
これに関しては小五郎の親達に話をしたが、その辺りは小五郎の好きなようにさせてやりたいからというように言われて結局はその点は伸ばされることはなく・・・小倉からすればそれは勿体無いというように思えた。隠された能力自体はあるがそれを発揮出来ないのは宝の持ち腐れではないかと。
だがあくまで小倉は叔父という立場であって、直に小五郎を育てる立場にはない・・・故に強く物を言うという事は止めておこうと思って時間が過ぎていったのだが、そうしている時に小五郎が名探偵と持て囃されて取り上げられる媒体やらを見て、小五郎の能力が開花したというように考えた・・・なんてわけはなかった。何故ならその媒体に映っていた小五郎の顔が明らかに冷静さの欠片も何も無い、調子に乗った馬鹿笑いの顔だったからだ。
だからその時点で小五郎に何かがあったからこんなことになったんだろうとわざわざ電話して確かめてみたのだが、そこで動揺しつつも明らかに声色が覚悟が決まっているといった以前と違う小五郎の様子に、事情があるのを確信した上で何かあるなら言えというように言っていったのである。小五郎がそこまでになる何かが起きたことに関しての興味が大きく、何か厄介な事があるからというのは想像は出来たがある程度なら自分でどうにか出来ると、自分の持つ力があるからだ。
だからそうして一旦その電話は終わるのだが、また電話が来た時に事実を聞いて小五郎を受け入れることにしたのである。想像を超えるというよりは想像もしていない角度からの理由だったが、自分も知らんフリをすれば穏便に済ませられる程度に出来る範囲だったことからそれくらいならやってやろうと思ってだ。
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