曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する
「・・・ふぅ」
「話は済んだか」
「えぇすみません叔父さん、話の゙途中で」
「構わぬ」
・・・場は小五郎の叔父の家の和室にて。
座布団に正座で座る小五郎は電話を切ってポケットに入れ、対面上に座る六十は既に超えている筈なのに小五郎より見た目が若々しく緑の着物に身を包んだ叔父に謝罪を向けるが、大したことではないというよう揺れない瞳で一言で返される。
「話は大方聞こえていた。まずお前の娘はすぐには納得は出来ぬと遠からず連絡してくる事だろう。お前の妻から言われたことについてではなく、何故自分にその事を話しもせずに我の元に行くと決めたのかとな」
「まぁ蘭の性格ならそうなるでしょうね・・・」
「故にその時が来たら我の元に来い。お前だけの言葉ではこちらで暮らせばいいと言ってくるだろう。我の口からその事については話してやる」
「・・・まぁ確かに俺だけの言葉じゃ蘭は納得しないでしょうから助かりますが・・・本当にすみません叔父さん、こんなことに巻き込んで・・・」
‘プルルルルル’
「・・・と言っていたら来ましたね」
それで叔父からの言葉に小五郎はかしこまった様子で返していくのだが、その中で小五郎の携帯が鳴り出し液晶に映る名前にたまらず眉を寄せた。
「すみません、最初は俺が話します。いきなり叔父さんに話させると蘭は話を受け入れるとは思えないので」
「うむ」
それでまずは自分からと言う小五郎に叔父は頷き、その姿を見てから携帯に耳を当てる。
・・・そうして数分の間小五郎は蘭と電話をするのだが、叔父はその会話の様子を黙って見る中で小五郎から合図と言わん視線と共に「叔父さんに代わるぞ」と携帯を渡され、叔父は携帯を耳に当てた。
「・・・電話を代わった。我が小五郎の叔父の小倉だ」
『お、小倉さんですか・・・?』
それで淡々と温度を感じさせない声色で応答する叔父に、明らかに圧されたように蘭は声を漏らしてしまっていた。予想していない声が来たというよう。
「話は大方小五郎から聞いた。療養の為ということから我の元に来ればいいと言ったが、そちらは旅行中であり邪魔してはならぬと思って連絡をしていなかったことはな。故にそちらと小五郎の間で行き違いが起こり納得出来ぬと連絡をしてきたようだが、それならば先の話でどれだけ小五郎の゙事について納得出来た?」
『そ、それは・・・具合が悪いなら早く言って欲しかったって思いますし、療養ならこっちでいいだろうって思ったから帰って欲しいって・・・』
「そうか。なら言わせてもらうが我がこちらに来いと小五郎に言ったのはその病気の理由が心因性の物であり、名探偵と呼ばれる事になってからの無理が祟っての事と見てだ」
『・・・え?』
叔父はそんな反応を気にした様子なくそのままの声色で話を進めていくのだが、そこで出て来た無理との言葉に動揺していた蘭が戸惑いの声を漏らした。
「我も小五郎の事は昔の縁から知っているが、調子に乗りやすく冷静になれん部分の強い存在であると共に、いざ調子に乗ったとしたならその勢いのまま動こうとするクセもだが実は上がり症であることも承知しているが・・・そちらは知っているか?」
『あ・・・確かにそれは一度聞いたことがあります・・・』
「なら話は早いが、確かに小五郎は仕事がうまくいくにつれて調子に乗ったのだろうが、人に注目されれば上がり症を持つ人種は人前に立てば萎縮するのが普通の認識となるだろう・・・だが小五郎は調子に乗った時はそんな上がり症の事など忘れていたとばかりに振る舞っていたとのことだが、心因性の゙病気を患っていると聞いた時から我は考えたのだ。小五郎は調子に乗って乗り切って大丈夫と思っていたのだろうが、そうした上がり症の部分から徐々に精神を蝕んでいき、今回の病気に発展したということになったとな」
『っ!』
しかし続けられた叔父からの冷静な声からの推測に、蘭はハッキリと息を呑んだとばかりの音を漏らした。蘭も小五郎が上がり症という一面を抱えている事を聞いたことがあるが、それが病気に関わっているというような予想だにしなかった事を聞かされ。
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「話は済んだか」
「えぇすみません叔父さん、話の゙途中で」
「構わぬ」
・・・場は小五郎の叔父の家の和室にて。
座布団に正座で座る小五郎は電話を切ってポケットに入れ、対面上に座る六十は既に超えている筈なのに小五郎より見た目が若々しく緑の着物に身を包んだ叔父に謝罪を向けるが、大したことではないというよう揺れない瞳で一言で返される。
「話は大方聞こえていた。まずお前の娘はすぐには納得は出来ぬと遠からず連絡してくる事だろう。お前の妻から言われたことについてではなく、何故自分にその事を話しもせずに我の元に行くと決めたのかとな」
「まぁ蘭の性格ならそうなるでしょうね・・・」
「故にその時が来たら我の元に来い。お前だけの言葉ではこちらで暮らせばいいと言ってくるだろう。我の口からその事については話してやる」
「・・・まぁ確かに俺だけの言葉じゃ蘭は納得しないでしょうから助かりますが・・・本当にすみません叔父さん、こんなことに巻き込んで・・・」
‘プルルルルル’
「・・・と言っていたら来ましたね」
それで叔父からの言葉に小五郎はかしこまった様子で返していくのだが、その中で小五郎の携帯が鳴り出し液晶に映る名前にたまらず眉を寄せた。
「すみません、最初は俺が話します。いきなり叔父さんに話させると蘭は話を受け入れるとは思えないので」
「うむ」
それでまずは自分からと言う小五郎に叔父は頷き、その姿を見てから携帯に耳を当てる。
・・・そうして数分の間小五郎は蘭と電話をするのだが、叔父はその会話の様子を黙って見る中で小五郎から合図と言わん視線と共に「叔父さんに代わるぞ」と携帯を渡され、叔父は携帯を耳に当てた。
「・・・電話を代わった。我が小五郎の叔父の小倉だ」
『お、小倉さんですか・・・?』
それで淡々と温度を感じさせない声色で応答する叔父に、明らかに圧されたように蘭は声を漏らしてしまっていた。予想していない声が来たというよう。
「話は大方小五郎から聞いた。療養の為ということから我の元に来ればいいと言ったが、そちらは旅行中であり邪魔してはならぬと思って連絡をしていなかったことはな。故にそちらと小五郎の間で行き違いが起こり納得出来ぬと連絡をしてきたようだが、それならば先の話でどれだけ小五郎の゙事について納得出来た?」
『そ、それは・・・具合が悪いなら早く言って欲しかったって思いますし、療養ならこっちでいいだろうって思ったから帰って欲しいって・・・』
「そうか。なら言わせてもらうが我がこちらに来いと小五郎に言ったのはその病気の理由が心因性の物であり、名探偵と呼ばれる事になってからの無理が祟っての事と見てだ」
『・・・え?』
叔父はそんな反応を気にした様子なくそのままの声色で話を進めていくのだが、そこで出て来た無理との言葉に動揺していた蘭が戸惑いの声を漏らした。
「我も小五郎の事は昔の縁から知っているが、調子に乗りやすく冷静になれん部分の強い存在であると共に、いざ調子に乗ったとしたならその勢いのまま動こうとするクセもだが実は上がり症であることも承知しているが・・・そちらは知っているか?」
『あ・・・確かにそれは一度聞いたことがあります・・・』
「なら話は早いが、確かに小五郎は仕事がうまくいくにつれて調子に乗ったのだろうが、人に注目されれば上がり症を持つ人種は人前に立てば萎縮するのが普通の認識となるだろう・・・だが小五郎は調子に乗った時はそんな上がり症の事など忘れていたとばかりに振る舞っていたとのことだが、心因性の゙病気を患っていると聞いた時から我は考えたのだ。小五郎は調子に乗って乗り切って大丈夫と思っていたのだろうが、そうした上がり症の部分から徐々に精神を蝕んでいき、今回の病気に発展したということになったとな」
『っ!』
しかし続けられた叔父からの冷静な声からの推測に、蘭はハッキリと息を呑んだとばかりの音を漏らした。蘭も小五郎が上がり症という一面を抱えている事を聞いたことがあるが、それが病気に関わっているというような予想だにしなかった事を聞かされ。
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