曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する

「博士もそうなるって思ったことは分かったが、俺としちゃ事実を聞いたこともあってそんなことに蘭を関わらせたくねーっていう考えが浮かんだ。蘭に聞かれりゃ俺の方がヘマを起こしそうだって言われるだろうが、そんな時の蘭がその男達に関連する場面に出会したら冷静でいられるとなんか全く思えねぇ。むしろ手っ取り早く出会った瞬間叩き伏せて捕まえて新一を元に戻させるみたいなことを仕出かしかねねぇとすら俺は感じたんだ。その男達の仲間が他にいるだとか逆に返り討ちにあうだとか、その他諸々がどうなるかみたいなことなんか一切考えないままな」
「っ、流石にそんなことまではしないだろうと言いたいが、新一の為にもと蘭君はやりかねんということか・・・」
それで小五郎が蘭に話を聞かせたら主にろくなことにならないだろうといった推測を話し、阿笠も苦々しくも否定出来ないというように漏らしていく。蘭の性格なら勢いで良くない事になりかねない事態を引き起こしかねないと。
「そうだ。ただこれで蘭に黙って俺が博士に話を聞いて事実を知ったなんて事を新一に話しても、どうせあいつが言う事は俺のやりたいようにやらせてくれとか謎が解けたからまた眠ったフリか口パクしてくれって言って引かねぇどころか、むしろもうバレたんだからで俺にどうやってでも協力をさせに来るのは目に見えてる。そうなりゃあいつに協力するかあいつを諦めさせる為に無理矢理事実をぶちまけるだとかして、すがる手をぶった切るくらいの覚悟からの行動を取るくらいはしねぇといけねぇだろうが・・・そうしたら新一や博士に優作さん達までで済むというならまだしも、俺や蘭も新一を匿ってただけで俺達の事を知ってるなら始末するって風に、疑わしきは罰せよを問答無用でやってくるだろう可能性は極めて高いだろうな」
「そっ、そう思うのならどうすると言うんじゃ毛利君・・・毛利君が新一達やワシのやったことを気に入らないというのは仕方無いのは分かるが・・・」
「・・・その辺りはあんたにも協力してもらう。それが出来ねぇなら死なば諸共・・・な事になるかもしれねぇがな」
「っ・・・!」
だから蘭には言わないのは前提にしても新一との事についてのシミュレーションをしていく小五郎に阿笠はどうするのかと聞くが、そこで協力以外許さないとの盛大な含みを入れた言葉に冷や汗を盛大に浮かばせて息を詰まらせるしかなかった。しれないと未定のように言っているが、協力しないなら確実に何かをしてくると予感させる力を感じてしまった為に・・・


















・・・そうして小五郎は阿笠と深く話をしていくのだが、結果を先に言ってしまうなら小五郎の要求は全部通る事になった。これに関しては阿笠が自分がこうしてしまった責任があるということも理解したこともあるが、やはり小五郎の怒り・・・というにはあまりにも冷徹な様子への変貌振りもあって、協力を拒んだなら新一達共々どうなるか分からないと恐怖したからでもあった。

そういった事から阿笠は小五郎の言うことを聞くと決めたのだが、そう決めたのには最初に新一の事に関しては知らないフリをすると言ったのも大きかった。ただそれに関しては下手に新一に話をして事件の際に協力体制を取るような事にするとしたとしても、新一の性格的に裏でおっちゃんの事は今回の事もあって信用出来ないからやっぱり裏で自分だけで行動する・・・といったことをするだろう可能性が高いとの言葉だったことに、阿笠もそれは否定出来ないと答えるしかなかった。言い方は悪いが新一は小五郎より自分の方が探偵としての能力が高いと疑っていないこともあるし、今回のような顔を見せた小五郎に対して新一が別の意味で不信感を持って結局一人で動こうとする可能性は大いに有り得ると。

だから小五郎は下手に協力するくらいなら知らないフリをして済ませると言ったのだが、その代わりとして阿笠にこうしろと言ったのである・・・俺用に使うのと他の人に使う麻酔銃の針を別のヤツにするよう徹底させろ、要は自分に撃つ用の麻酔銃の針は麻酔を付けてないヤツにさせろと。









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