曇りを晴らした先に道化の探偵は覚醒する

・・・憧れは理解から最も遠い感情。小五郎は何処かから聞こえてきたその言葉について流すことの出来ない響きがあるというように感じていた。何故ならそれは今の小五郎にとってはとても実感を持てる言葉であると共に、その憧れが自分に蓋をしていた物だと気付いたのだ。

そしてかつて叔父という立場にいる存在から冷静になればそこらの捨て駒になど負ける筈はないと独特でいて、他者に対しての辛辣さが目立つ言葉を向けられたが、その能力を真に発揮出来るようになった時には憧れや友達と思っていた存在とその子どもに対し、愛情が失われていったことにも気付く形で・・・


















・・・平日の自分の所有する探偵事務所のデスクに備え付けられた椅子に座りながら、小五郎は一人で考え込んでいた。そうしている理由は最近の自分が事件に出会しやすくなった上でいきなり眠気が来たと思ったら事件が解決していて、それが目が覚めたら自分のおかげだというように周りから褒め称えられる事と・・・それらが起きるようになったのは娘である蘭が連れて来た子どもであるコナンが自分の元に来てからだということについてだ。
(・・・やっぱり小倉さんの言うよう変としか言いようがないんだよな・・・最初の内は自分の能力がついに開花したのかとかって思ったが、叔父さんの言葉でそんな事あるはずがないだろうって事を言われてそうだって気付いたのはおマヌケだけどな・・・)
そんな状態についてを改めて変だと認識した上でそれらを聞いた叔父からの言葉があったからだとのことに、若干気落ちしつつもすぐに気を取り直す。
(・・・よし、取り敢えずは証拠集めから始めるか。色々調べないとまずはどうにもならないだろう上で、本当にそうだった場合についてはそこから考えよう)
そうして小五郎はまずはと証拠固めに入ることを決意する。疑惑を確信に変えるための行動を起こそうと。


















・・・そうして小五郎はしばらくの時間を証拠を固める為に慎重に動いていくのだが、それで出て来た結果は予想していたどころではないこと以外の何物でもなく、少しの間頭を悩ませたが仕方無いと行動を起こした。ただその行動とは何かと言えば今の小五郎に起きたことの直接の原因ではなく、ほぼ間違いなくその原因を手助けしているであろう存在・・・阿笠という人物の元に向かう事だった。



「・・・認めてくれるよな、博士。あんたがコナンの手助けをしていることをよ」
「うぅっ・・・す、すまんかった毛利君・・・確かにワシは君が言うようにコナンに協力していたよ・・・」
・・・時間にして夜深い阿笠邸のリビングにて。
小五郎が静かでいて確かな圧力を込めた問い掛けを阿笠に向けるのだが、その迫力もあるが話の中身を受けて観念したというように小五郎に頭を下げた。いや、正確にはうなだれたが近いだろう。






・・・小五郎が阿笠に何を話していったのか。それは大きく二つに分けてコナンが持つ腕時計型麻酔銃と蝶ネクタイ型変声機の事を調べて知ったことと、何回か小五郎がコナンと一緒にいる時に事件に出会した際に必ず密かに忍ばせていたレコーダーを起動させ、事件の際の音を録音していたことについてだ。

前者に関してはコナンが寝ているかどこかに外している際にそれらを調べたと小五郎は言ったのであるが、最初は阿笠は明らかに動揺しつつもそれが何なんだと誤魔化そうとした。しかし後者のレコーダーを実際に取り出した上で俺にはこんな事を言った覚えは無いことも併せて、あの二つの道具から見てコナンがやったことだと俺の口から発表してやろうか・・・と言うと取り繕うことなど考える間もなく顔を青くして、その反応を見た小五郎がコナンが原因なんだなと確信して詰め寄ったのである。









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