向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

(・・・まぁ後はしばらく様子を見ないとな。今はコナンも落ち着いてはくれているし考えるって言ってるけど、それが覆るような状況になったら目も当てられない事態になる可能性が高いし)
だがそこで改めて気を引き締め直そうと悟は考える。これからのコナンの状況は変わる可能性はまだ十分に有り得ると。






・・・この数ヶ月で根気強くコナンに焦らなくてもいいと話をしてきた悟だが、その内心では正直な所として探偵・・・いや、正確には新一のような推理をしたり事件の解決がメインになるような探偵になって欲しいとは思っていなかった。それは言ってしまえばそんな探偵になってしまえばどうしたって新一という親がいることにより、比較だったり競争対象になってしまうのが目に見えた物だったからだ。

そしてそうなればコナンは間違いなく新一に対しての対抗心を燃やして対立の形を取るだろうし、まず間違いなく親子としての仲は悪くなる以外の未来が悟には見えなかった。新一や蘭は最初こそは自立心が強いというならいいというように見るかもしれないが、後になればなるほどコナンとの関係が前のようにならないどころか更に悪くなっていく事に、どうしてだと言うならまだいいくらいで蘭が頭を下げないならもう帰って来なくていいと怒って言い放ち、新一はアワアワしてコナンと蘭の間をウロウロするしかないだろうと悟は想像出来た・・・普段はまだしも怒った時の蘭に対して頭が上がらないのは悟も見てきたが、それなら蘭に考えを改めさせるよりコナンに意地を張らないで頭を下げてくれと連絡しようとするだろうが、その時のコナンが意地を張る対象である新一に対してすんなり頷く筈がないということからだ。

だがそうして辛いのはコナンもなのだが、最早そこまでの状態になっていればコナンが自分から頭を新一の為に下げるなんて有り得ないと断じるだろうし・・・それならと新一が謝るかと言われたら俺が悪いなら謝るからというように言うだろうが、理由を分からないから取り敢えず謝罪するというのは、却って気に入らないとなるのが人というものだからますますコナンの気持ちは離れる事だろう。そうなればまず新一達の仲の改善など有り得なかったのは明白だ。

ただこれはあくまで予測でしかないと言われてしまえばそれまでではあるが、この時点ですらコナンが爆発してしまったのだ。だからもし今のまま探偵についてをコナンが考えることなく行けば、例え小五郎や優作達が頑張ってもそんな将来になりかねない・・・そう危機感を持って考えた悟は小五郎と協力をした上で、慎重にコナンと話をしていったのである。頭ごなしに話をすればコナンの性格的に耳を貸さないと思ったことから、強い言葉を使わずゆっくりと考えを改めさせようという形でだ。

そしてその結果としてコナンの説得はうまくいった。先に言ったような学校での事だったり事件に関わらない生活をしていることもあって、コナン自身としても前のままでいいわけじゃないのではといった気持ちがあったというのも相まってだ。ただそれも今までの経験に性格からまだ完全に振り切った訳では無いが、そこに関しては悟はこれからもゆっくりと時間をかけて向かい合っていくようにする予定でいる。今の時点で新一と蘭の心や行動を変えるのが難しいと思えるのもそうだし、コナンを落ち着かせて成長させて考え方の幅を広めた方がいいと思うからこそ・・・









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